視点 論点 サンダースよ、お前もか!

イスラエルロビーの主張に署名

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抗議する民衆から学ぶべき

 編集部 脇浜義明
 往年の反戦歌手英雄のボブ・ディランが、イスラエルを賛美し、米国労働者の賃上げ運動を国益に反すると非難する歌を唄ったことは、前に書いたことがある。今度は、日本の左派の間でも人気のあるバーニー・サンダースが、イスラエルの神話を支持した。
 強力な親イスラエル・ロビーAIPACの主張を支持する上院議員100名の署名入り書簡の中に、彼の名前もあったのだ。ユダヤ系米国人であってもイスラエルの占領政策を批判する者は多いが、前の大統領選挙のとき、彼のイスラエル贔屓の姿勢を若い支持者から批判されて、態度を改めたことがあった。TV討論会で一方的にイスラエル支援し、反パレスチナのクリントン候補に対し「ネタニヤフがいつも正しいとは言えないし、米国は一方的であってはいけない」と嗜めたこともあったのだが、やはり、AIPACの圧力には勝てなかったようだ。
 同じように、現在イスラエル刑務所で抗議のハンスト中のパレスチナ人・バルグーチの主張を掲載したリベラル紙「ニューヨーク・タイムズ」も、親イスラエル右派の圧力に屈し、「バルグーチはテロリスト」とする修正記事を書いた。
 この書簡は4月27日付国連総長宛で、内容は、イスラエルが国連で不当にいじめられ、除け者扱いされている、と訴えるものであった。この数十年間イスラエルが国連決議や国際法を無視してきたこと、数々の反人道的行為、米国の庇護のおかげで国連制裁の対象外であること、という事実に目を背けて。また、パレスチナ難民を支援する国連機関UNRWAを妨害し、施設破壊、職員殺害という無法を犯してきたことに目を背けて。これは被害者=パレスチナ人を鞭打つ行為である。
 5月7日の「電子インティファーダ」によれば、オンライン・ニュース「AJ+」のディーナ・タクルーリがサンダースにインタビューしたところ、彼は「文章を書いたのは私ではない。署名しただけだ」と弁明した。タクルーリは、サンダースがパレスチナ人の非暴力運動=BDS(イスラエルボイコット運動)に反対していることを指摘すると、彼は「私はBDSを支持しない」と回答。彼女が「被抑圧者パレスチナ人の抵抗する権利を認めないのか」と質問すると、彼は「米国がイスラエルだけに武器援助する政策を改め、両者を平等に扱い、中断しているピースプロセスを再開すべきだ」と答えた。「では、両者が平等に暮らす一国解決案をどう考えるか」との質問には、「一国案を支持しない。イスラエル国の消滅になるからだ。私はイスラエルの生存権を支持する」と答えた。
 最近メリーランド大学の2人の教授の指導による世論調査では、米国人の5人中2人がイスラエルへの経済制裁に賛成、イスラエルへの米国の無条件支援に反対した。サンダースは民衆から学ぶべきだ。
 サンダースの署名に驚いた各団体(「平和を求めるユダヤ人の声」も含む)が、サンダース事務所に問い合わせているが、回答を拒否している。

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