トランプ政権下で、税金がグローバル企業に流し込まれる仕組みが次々と作られている。議員と企業が集まって議会に提案する法案を事前に検討する「米国立法者交流会議(ALEC)」は、政治家と企業の馴れ合いの場だ。トランプ大統領は3月、「育英事業連邦税控除法」を提案し、多額の予算も付けた。公立校から私学へ転出する生徒の授業料を援助するための企業負担金を払い戻してやる仕組みだ▼同プログラムは、バウチャー制度の別名であり、「学校選択の自由」の名目で、公金を民間教育資本へ移転する仕組みである。教員組合が強く、地域と繋がり反差別教育を実践する公立学校を運営資金面で締め上げ、教育民営化を推進する目的で作られた。大阪で橋下知事がやろうとした「教育の商品化」、教育を単に成績競争だけで見る「偏狭化」のモデルである▼森友スキャンダルでは、政治と右翼思想と金権の醜い関係が問題になったが、トランプが教育長官に任命したエリザベス・デボスは、教育民営化と愛国教育や原理主義的宗教教育を推進している。「学校選択連盟」を立ち上げ、ALECに資金援助し、右翼教育や民営化政策を検討し、研究会なども開いている▼かつて日本では、「偏向教育」というレッテルを貼って日教組への弾圧が吹き荒れたが、今や国家が右翼偏向教育を公然と推進する時代となった。権力側が積極的に我々に闘争を仕掛けてくる時代となったのだ。(わ)
(H)