パレスチナ連帯運動の成功の鍵だ
1月19日「電子インティファーダ」フリーランス・ジャーナリスト シャーロット・シルヴァー
翻訳・脇浜義明
米国労組指導部は概してパレスチナ支援に消極的である。時にはパレスチナ支援運動に公然と敵対することすらある。2009年リチャード・トランンカーがAFL─CIO会長に就任したとき、BDS(イスラエルに対するボイコット、脱投資、制裁)を非難した。AFL─CIO内の労働者グループがイスラエルの占領とアパルヘイトに反対し、パレスチナ人が呼びかけるBDS運動を支援していたので、全米最大の労組連合の会長として黙認できなかったのである。
AFL─CIOには、イスラエル建国、パレスチナ入植、パレスチナ人追い出しで重要な役割を担ってきたイスラエルの労働組合連合ヒスドルートを支援してきた長い歴史がある。そのうえAFL─CIOはイスラエル国債の大口の買い手で、投資額は約50億㌦以上になる。
ところが、今月AFL─CIOのサンフランシスコ支部がパレスチナとの連帯決議を行ったのだ。小さいが一つの突破口的事件である。支部会議は親イスラエルグループやイスラム嫌悪グループの暴力行為に強く反対した。
支部決議は、パレスチナ支援活動のために数々の嫌がらせを受けてきたサンフランシスコ州立大学の学生と教員への支援と連帯を表明するものであった。決議の引き金となったのは、昨年、一人の女性教授を「テロリスト協力者」と誹謗するデマ・ポスターが大学のキャンパスの至るところに貼られた事件である。ラバーブ・アブドゥルハーディという教授で、他にもパレスチナ支援活動家を誹謗するポスターもあった。ポスターを出したのは、デービッド・ホロウィッツ自由センターとカナリア・ミッション。ムスリム嫌悪とイスラエル批判者を攻撃することで有名な団体である。
アブドゥルハーディ教授は、労組支部決議をパレスチナ解放運動と米労働運動の連帯関係の第一歩として大歓迎した。彼女は「米国の労働組合運動は、パレスチナの視点から見て、殻が硬くて連帯チャンスがつかめないのです」と電子インティファーダに語った。
彼女の夫ジャイメ・ヴェーウェは労働運動活動家ベテランで、パレスチナ連帯活動にも数十年従事してきた。彼は「パレスチナと連帯する労働者」というグループの代表である。「AFL─CIOは、パレスチナ問題を回避し、BDSには正式に反対の立場だ」と語った。しかし、組合の中ではパレスチナ人の公正と平等を求める闘いを支持する気運が「ゆっくりと高まっている」とも言った。
2014年、UAWローカル2865(カルフォルニア大学の大学院生就労者の組合)が、BDS運動を支持する米国最初の組合となった。2015年、全米電気・ラジオ・機械労働組合が、2番目にBDS支持を打ち出した。同年、AFL─CIOのコネティカット支部が、BDSの骨子を支持すると表明した。
ヴェーウェは、BDSの成否は労働組合が鍵になると考えている。「労組が加わると、国債の脱投資という脅威をイスラエルに与えられる」。
サンフランシスコ支部は、ホロウィッツ自由センターとカナリア・ミッションへの全面的抗議活動を呼びかけた。サンフランシスコ州立大学の哲学講師でAFL─CIOサンフランシスコ支部会議の代議員であるアン・ロバートソンは、「全面的抗議」とは訴訟などあらゆる行為を含む、と説明した。彼は、学長のレス・ウォンのポスターへの反応が「曖昧すぎる」と批判した。ウォンはポスターを外部の過激派の仕業とし、「こういう行為は許されない」と言ったけれど、犠牲になった教授や学生を弁護する言葉はなかった。