ぷりずむー1605号

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 「各電力会社の会計簿には使用済み核燃料が資産として計上されている」。これは本紙1586号の渡辺悦司さんの指摘だが、原発問題を考える上で重要な問題なので改めて訴えたい。原発反対に取り組んで40年以上になるが、この点を指摘したのは彼が初めてだった▼あんなものが何故資産なのか。再処理をしてプルトニウムを取り出せば、原爆の原料になり、高速増殖炉や高速炉の燃料となる。だから資産というのだろう。ところが現実には青森の再処理工場はメドもたたないし、高速増殖炉もんじゅは廃炉が決まったのだから、「使用済み核燃料は資産」という理屈はすでに破綻している。政府がもんじゅの廃炉を決めながら、未練がましく「高速炉の開発をめざす」のは、この虚構を守るためでしかない▼再処理もできず、高速炉もできないとなれば使用済み核燃料は資産から一転してゴミになる。しかも放射性廃棄物というやっかいなゴミだ。フィンランドでは再処理もせずに地中深く洞窟を作り10万年保管する方法を選んでいる▼「原発の電気は安い」というのも、このカラクリの上に成りたっている。火力発電には燃料代がいるが、原発は燃料代がかからない。それどころか運転すればするほど使用済み核燃料という資産が積みあがっていくのだから、打出の小槌だ。現に関電は4357億円も「資産」としてためこんでいる。東芝も顔負けの粉飾決算だが、政府が後ろ盾になっているのだからタチが悪い。  (や)

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