遙矢当(@Hayato_barrier)
インドネシアの日本大使館が襲撃された「ジャカルタ事件」(1986年)で、殺人未遂などの罪に問われた城﨑勉氏に対し東京地裁・辻川靖夫裁判長は、24日、懲役12年(求刑懲役15年)の実刑判決を言い渡した。同事件で城﨑氏は、既に米国で裁判を受け服役・釈放されている。同様の容疑で日本の司法は裁いたわけで、一事不再理(同一の犯罪について重ねて刑事上の責任を問われない)の憲法規定に反する裁判であり、事実認定以前の不当判決である。判決直前の10日、「バリアのない街」の執筆者・はやとさんが城﨑氏と面会した。報告を送って頂いた。(編集部)
11月10日、城﨑勉さんの面会のために東京拘置所を訪問しました。城﨑さんと相対で話をさせて頂くのは初めてでしたが、旧知の間柄であったかのように、終始会話が続いたのは、社会に対し向き合う意識が同じものであったからに他なりません。
城﨑さんの健康状態は良く、落ち着いた気持ちで過ごされているようです。彼を支援する様々な人の手厚さゆえでしょう。秋が深まる東京に「こんなに寒いなんて」と苦笑。「(東京も)変わるんだね」と笑い続けていました。
話題は多岐に渡りました。まず、城﨑さんは長く人民新聞の読者で、私のコラム「バリアのない街」の読者でもあり、今の日本の介護についての質問も受けました。紙面が、長くアメリカで過ごした城崎さんと私たちの意識の共有の場の1つだったのでしょう。
今回の裁判は、「裁判員制度」による裁判でもあるため、それ自体が理不尽である以前に、今回の城﨑さんには想像が付かない裁判でもあるようです。今はただ、率直に法廷内を奇異に眺めているようです。
アメリカ大統領選挙直後でもあり、トランプ次期大統領の話も聞けました。東拘内でニュースを聞き、「(トランプ氏を選んだ)アメリカはかつてないほど変わってしまっている」そうで、文化の多様性を失おうとしていることを危惧しておられました。
また、城﨑さんは「脱原発」の動きが止まりかけていることを懸念していました。私が脱原発の動き、運動を続ける人たちが多様になり、動きが統一しにくくなっている点を伝えると、少し残念そうな表情も見せました。
城﨑さんが見せた、人懐っこい笑い顔は、苦しい戦いを支援すべく面会する者を、逆に励ますかのようです。読者の皆さんも、そんな城﨑さん支援へのご協力をお願いします。