市東孝雄さん農地取り上げ裁判
10月27日市東さんの農地取り上げに反対する会
最高裁判所第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は、10月25日、行訴・農地法併合裁判における市東孝雄さんの上告を棄却しました。これは、市東さんの農地の強制収用を認める不当な決定です。
私たちは心の底からの怒りを込めて、この決定を弾劾します。
空港会社が取り上げようとしている市東さんの農地は、大正期に祖父・市太郎さんが開墾したものです。戦後、父・東市さんの帰還が遅れたため小作地のまま残されましたが、3代100年近く耕作を受け継ぐ豊かな農地です。
1988年、空港会社は、小作地であるこの農地を耕作者の市東東市さんに無断で買収し、その事実を18年間秘匿して地代を騙し取り、明け渡しを求めて千葉県知事の解約許可決定を取り付けました。市東さんは知事決定を不服として行政訴訟を提起し(2007年7月)、空港会社は、農地の明け渡しを求めて提訴しました(08年10月)。裁判はこれら二つの併合裁判です。
一見、農地賃貸借関係の解約訴訟に見えますが、この農地は成田空港暫定滑走路の誘導路予定地にあり、拒否すれば強制執行にいきつく「公用収用」そのものです。
わずか3行の主文と数行の理由ならざる理由で切り捨てた最高裁の決定は、到底容認できるものではありません。
一つに、農地は耕作者・市東孝雄さんの命と生活の源泉です。そればかりか、無農薬有機農業と産直によって、農の再生を図る共同生産者と、その農業をともに育む多くの消費者のものであり、これを奪うことは認められません。
二つに、農地法は、戦後農地改革を経て、農地の保全と耕作者の地位の保護を目的に制定されました。棄却決定は、そのあらゆる法令を踏み破る空港会社の違法を許すばかりか、これを農地取り上げの手段とすることを認める歴史的な暴挙です。
これらは、企業の農業参入を進めて家族農業をつぶし、農地法を形だけのものにしてTPPを押し進める国の政策と一体です。
さらに成田空港地域では、新たに1000㌶空港拡張と200戸の移転をもたらす第3滑走路建設が、地元住民を無視して強行されようとしています。「公益」「国策」を盾にした手法は、原発再稼働や基地新設にもつながる強権政治であり、最高裁決定はこれにお墨付きを与えるものです。
千葉地裁の耕作権裁判では、空港会社の証拠偽造が明らかにされ、最高裁決定の前提が揺らいでいます。市東孝雄さんと弁護団、そして支援者の不屈の闘いは、変わることなく続きます。
11月20日、千駄ヶ谷区民会館のシンポジウムにお集りください。