パレスチナ支援をする私たちは、イスラエル・ユダヤ人を一つと一般化する傾向にあるが、イスラエルにはアシュケナジームという白人ユダヤ人と、セファルディムという有色ユダヤ人がいる。それぞれ多様であるが、基本的にこの二つに分けることができる◆前者が支配層で、後者を劣等、後進的、アラブ人憎悪者、反動派、宗教的狂信者と決めつけ、そうなるように操作してきた。実際、セファルディムはリクードなど右派政党の票田と言われるが、それは彼らがリクードの政策を支持しているからではなく、建国以来の主流派「左派」労働シオニストによる差別・抑圧への反応と解釈すべきだ。かつてはブラック・パンサーなど、反体制運動があったし、彼らはPLOに最初に接触したイスラエルの団体であった。これらのオリエンタルユダヤ人の反体制運動は弾圧され、取り込まれてしまったが、まだ残り火は燃えている◆セファルディム差別問題は「ユダヤ人の内部問題」と片づけてはならない。そういう態度は、「パレスチナ難民問題はアラブの内部問題」とするシオニストの言説と同じである。歴史的・文化的なアラブとの親近性・類似性を考えると、パレスチナ人とセファルディムの連帯の可能性がある。両者を合わせればイスラエル人口の70%を構成、これに占領地地区のパレスチナ人を加えれば人口の90%になる。大きな可能性ではないか。 (W)