米・黒人と先住民の連帯
9月2日 「Truthout」
翻訳・脇浜義明
先週末、数千人の先住アメリカ人がダコタ・アクセス・パイプライン(訳注…エナジー・トランスファー社がノースダコタ州バッケン油田からイリノイ州まで設置するパイプラインで、スタンディング・ロック・スー族が汚染に反対してキャンプをはって阻止運動、全米の先住民部族が支援に結集している)建設阻止運動をしているキャンプを、黒人解放運動BLMのオルガナイザーたちが支援訪問した。双方は連帯のメッセージを交わし、社会的レイシズムと環境レイシズムと闘う主体が手を結ぶという歴史的瞬間が実現した。以下は、BLMに対する「truthout」のインタビューである。
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──どうして黒人の闘いが先住民の闘いを支援することになったのか、その背景や議論を聞かせてください。
BLM(以下、B)…先住民の闘いをロマンチックに見る見方がありますが、そんなものではないでしょう。ダコタ・アクセス・パイプラインは、先住民だけの問題ではありません。水を守ることは、生命を守る闘いで、地球と未来の世代のためにみんなが担うべき闘いです。キャンプへ来て知ったのですが、我々BLMの闘いの現場に駆けつけてくれた先住民の人々も多くいます。
BLM運動の綱領は、すべての社会的周辺部の人々の解放闘争を高めることで、我々はみんなつながっています。アメリカのジェノサイドや土地収奪や労働搾取の歴史が、黒人と先住民を結びつけるのです。先住民の解放なくして、黒人の解放もありません。
──支援訪問者の人数は? スタンディング・ロックではどんな歓迎を受けましたか? また、キャンプの印象は?
B…今回は10人ですが、今後も継続して代表団が訪問します。訪問先では、家族のように温かい歓迎を受けました。キャンプは見事なコミュニティで、人々のニーズをきちんと満たすシステムが作られています。
食べ物、住居、健康、安全が配慮され、毎晩の会合でそういうことが協議されています。テントやティーピー(インディアン小屋)の前を通ると、必ず「ハロー」と声がかけられます。人々が集えば、不足なんかは神話、資本主義が自己保存のために作り出した神話であることが実感できます。
──先住民との会話の内容は? また、どんな行事や活動に参加したのですか?
B…何よりも聞くことです。彼らの語りに耳を傾けることで、短い間に大変たくさんのことを学びました。先住民の若者が、生い立ちを語ってくれました。居留地で育ったこと、小さな町や大都市へ出たことや、古い歴史なども聞かせてくれました。
水を守るために部族間の小さな対立を捨てて団結、ついにこのような大キャンプ形成に到った過程も聞きました。さまざまの部族の女性が集まっていて、彼女たちは毎朝川までデモ行進し、水の中へ入り、水に祈ります。私たちも、誘われて行動を共にしました。女性たちは、体験談を語り合い、タバコの葉を一掴み川へ流す儀式も行います。
人民の自由と解放を目的に
──この歴史的な黒人と褐色人の交流について、感想を。
B…これは、私たちが政治を実践に変えるために与えられた天啓ですね。連帯というのは流行語になっていますが、本当の意味で行動されることは非常に困難です。これは先住民コミュニティの闘いですが、自由と解放を目標する限りすべての人々が参加すべきものです。我々黒人解放運動も、これに参加することでより強力になります。
──黒人と褐色人の連帯の力は、私たち人民の解放に貢献しますか?
B…連帯を超えて前進しなければなりません。黒と褐色の力は、人民解放に大きく貢献します。もちろん我々には大企業や石油会社のような巨大な資源はありませんが、そんなものがなくても、人民にとって意味がある変化と勝利を得ることができると信じています。企業の条件で闘う必要はないのです。それは、白人優越主義と不公正というシステムに基づく闘いです。私たちの力は、資源からではなく、関係から生まれます。協力と相互依存に基づいて、関係を構築し、運動文化を構築していくことで、力をつけていくのです。
【訳者追記】
9月6日、エナジー・トランスファー社は警備会社を雇って、猟犬と催涙ガスで先住民を襲った。猟犬をけしかけて先住民に噛み付かせるビデオが、ネットで流された。先住民をイノシシ狩りの対象にしているような、傲慢なレイシスト攻撃だった。ビデオは『デモクラシー・ナウ』で流されている。