富田 英司
高江で2年ぶりのオスプレイパッド建設工事が再開されるとき聞き、急きょ沖縄に向かった。高江に入ったのは、工事強行の前日の7月20日。
久しぶりの高江は様変わりしていた。普段は静かで自然豊かなやんばるの森なのだが、車でN4ゲート前を通ったら、機動隊と沖縄防衛局職員が人数や車ナンバーをチェックしていた。これまではこちらのメンバーがゲート前でチェックしていたのだが、攻守反対になっている。政府が大量に人・物量を投入して、なりふり構わず米軍のオスプレイパッド建設を強行する姿があらわになった。
北部訓練場のゲート前を通ると、機動隊・軍警備・防衛局職員がびっしりと並んでいた。集会会場となったN1ゲート前も機動隊・防衛局職員がびっしりと並び、威圧している。
そんな戒厳体制に負けることなく、21日午後の抗議集会には1600人の県民が大結集し、参議院選挙で当選したばかりの伊波洋一さんも元気にあいさつした。
機動隊は翌日の22日朝から県道70号線を封鎖して、反対派の車を阻止する作戦のようだ。
機動隊による暴力的排除
21日夜は、「夜中に機動隊が排除に来るのではないか」と警戒し、支援者の皆さんと一緒にN1ゲート付近で徹夜した。早朝5時頃、機動隊が登場。北側から約300名、南側から約200名。私たちをサンドイッチのように挟み撃ちにした上で強制排除が始まり、あちこちで激しく衝突した。
こちらはゲート前の道路に約150台以上の車をビッシリ並べて、200人で抵抗。機動隊に包囲されたが、まだまだ抵抗できると思っていた。しかし、500人以上の機動隊および工事業者が一斉に襲いかかり、あっという間にゲート前のテントは破壊され、ゲート前車両の上にのって抵抗していたメンバーも機動隊員の暴力の嵐を受け、ケガ人が続出。「これ以上の抵抗は命に危険がある」と判断し、車の上での抵抗行動を中止した。
この時の機動隊員による暴力によって、3人のケガ人が救急車で搬送される騒ぎとなった。同時にN1ゲート裏とパッドGとHの入り口にもゲートが新設された。
法律無視の住民弾圧
本土では高江の工事再開のニュースをほとんど報道しないが、さすがに22日の本土機動隊の暴力弾圧は報道した。
高江の現状を一言で表現すれば、「戒厳令下」だ。法律を無視した地域住民支配が続いている。具体例を紹介する。
- 機動隊などの国家権力の地域支配 機動隊・防衛局職員・アルソック警備員・工事関係者など500人近くが高江地域に集まり、工事優先の地域支配をしている。この数は、高江区の人口(140人)をはるかに超えている。
- 県道70号線を封鎖 早朝から新川ダムで、違法な道路封鎖を行い、支援者がN1ゲート前に行けないようにした。道路封鎖をしていない時も、新川ダムの道で検問を実施して、全ての運転者に免許証の提示を要求する異常検問を実施した。
- 座り込み抗議者を長時間拘束してトイレにも行かせない ゲート前で機動隊に長時間包囲され、トイレに行きたいと訴えても、「ダメ」の一点張りでトイレに行かせないという人権無視が続いた。
25日以降、毎朝7時半ころからN1ゲートにはダンプが次々に砂利を運搬して来る。ダンプは、機動隊のカマボコやパトカーなど警察車両7台に守られながら時速20キロのスピードで来る。迎えるN1ゲート前では、40人以上の機動隊やアルソック警備員がダンプの搬入を警備している。
今高江では、こんな「戒厳令」に近い状態が続いている。