名桜大學 稲垣絹代
6月7日、名護の名桜大学の看護学科の講義室で、ヘリ基地反対協が新しく作成した「心に海染みり」という見出しのA1判のリーフレットが90枚配布されていた。毎年、看護学科の新入生全員が6月の慰霊祭前後に読谷と北部の戦跡巡りをするフィールドワークの授業がある。その事前学習の講師として招いた、リーフレットの作成に編集協力した「なんよう文庫」の川満昭広氏が準備してくれたものである。
「大浦湾のサンゴを壊すな!」の写真の裏面に、辺野古新基地に関連する年表や新聞記事、国連での翁長知事のスピーチ、和解条項の概要、ゲート前やカヌー隊の抗議行動、機動隊の暴力的な強制排除の写真まである素晴らしいものである。「沖縄戦から学ぶこと」という講義は、第2次大戦前から現在の米軍基地の現状まで、詳しい資料をパワーポイントでわかりやすく熱心に講義され、学生たちも興味深げに聞いていた。
フィールドワークは、6月18日に2班に分かれて行われる。八重岳の野戦病院跡から辺野古のテント村までの1日を、私も川満氏と同じバスで学生たちと過ごす予定である。翌日は県民大会なので、学生にも参加を呼びかけよう。
翌8日は、辺野古ゲート前まで車を走らせた。9時過ぎのゲート前では、すでに20人ぐらいがデモ行進をしていた。久志の駐車場に車を停めてゲート前に着くと、全員で柔軟体操を済ませて、基地から米軍車両を出さないために、1車線をあけて座り込み、集会が始まった。
6月5日の京丹後の米軍Xバンドレーダー基地反対の現地集会に参加した山城博治さんから、現地報告があった。名護市議の大城さんからは、県会議員選挙で翁長与党勝利のうれしい報告があった。東京東部の沖縄に連帯する労働者10人の挨拶もあった。参加者が40人ぐらいに増加した10時ごろ、名護署の広報車が、座り込みをやめるよう警告を繰り返した。そのうち、機動隊が参加者を取り巻くように並んで、排除の指示を待っていた。警察広報車の大音量の警告に対し山城リーダーは、5台の拡声器で反撃。機動隊も引いて、強制排除は行われなかった。
「基地がある」故の犯罪をなくすために
昨夜、名護のスーパーで買い物をして、駐車場へ向かおうとした時、「沖縄タイムス」の女性記者から、元海兵隊軍属による女性殺人事件について意見を求められた。「悲しい事件が身近で起こって、怒り以外の何物でもありません。17日の名護の追悼集会にも、19日の県民大会にも家族で行きます」と答えた。県民集会の特集記事で、100人の怒りの顔写真という企画にも協力し、撮影してもらった。
今年の沖縄は、なかなか夏日にならない。大雨・洪水・雷の注意報や警報が、毎日のように続いている。停電やスコールも頻発している。このため、慰霊祭やハーリー(伝統漁船を使ったレース)も延期や中止になっている。沖縄の天も地も海も、怒りと悲しみに満ちている。
13日午後には、名護市瀬嵩に面した大浦湾が、山から流出した赤土によって、真っ赤に染まった。沖縄戦や戦後も続く日米政府による犠牲者の血が流出しているようだ。
もはや沖縄は、辺野古新基地建設阻止ではなく、全ての米軍基地撤去へと運動は広がっている。戦中から続く「基地があるうえの犯罪をなくすためにまずは、県民集会の決議案である、(1)在沖米海兵隊の撤退、(2)日米地位協定の抜本的改定、(3)普天間飛行場の閉鎖・撤去と県内移設断念、(4)日米両政府に対し、遺族と県民へ改めての謝罪と完全な補償を求めるために、私は何ができるか? 県民大会や辺野古のゲート前に行く友人や学生を1人でも増やそうと思っている。