共謀罪新設について、マスコミが大きく報道を始めました。現在、継続審議中の刑事訴訟法一部改正(盗聴法改悪や司法取引の新設など)に続いて、共謀罪までできてしまうと、どうなるか。
盗聴法改悪で、第三者の立ち会いのない大量の盗聴が可能になります。盗聴した通話者の中から選んで、たとえばAさんを逮捕する。令状自動販売機と言われる裁判所には、盗聴や逮捕へのチェックをほとんど期待できません。逮捕されたAさんが司法取引をして、AさんとBさんが何かの共謀をしたという調書ができれば、Bさんをその共謀罪で逮捕・起訴できます。司法取引をしたAさんは不起訴・釈放。また、まずAさん、次にBさんというのでなく、盗聴からわかった仲間づきあいのある何人かを同時に逮捕すれば、釈放されたくて、あること・ないことを仲間同士で我先に競争して司法取引する人が出てくるかもしれません。
こんな場合、何の共謀もなかったとしても、目配せだけでも成立する「共謀」にはそもそも客観的証拠がないし、アリバイで反論できないような起訴がされるでしょう。そうなると、えん罪を証明するのはほぼ不可能。つまり、盗聴+司法取引+共謀罪がセットになると、共謀があろうとなかろうといったん起訴されれば、無実の罪を晴らす望みはほとんどなくなるのです。
現在、盗聴法改悪と司法取引などを内容とする刑事訴訟法一部改正案が継続審議となっています。もし共謀罪ができれば、いずれ共謀罪も盗聴や司法取引の対象になるのは間違いありません。
政府は、共謀罪法案(正確には「組織的犯罪処罰法改正案」)をいつ国会に提出しようとしているのか。テロ対策を理由にサミットまでに、とか、来年の通常国会はない、とかいろいろ報道されています。しかし、いずれにせよ、共謀罪の新設は必要だが、3度廃案になっているから提出の時期を慎重に検討する、というものです。要するに、反対世論の動向を見ながら、必ず成立させることのできるタイミングを慎重に見計らっているのです。
盗聴法改悪・司法取引は廃案に追いこもう! 共謀罪法案は国会提出を阻止しよう!
(共謀罪に反対する市民連絡会・関西発行「コメタール(9)盗聴・司法取引・共謀罪がセットになるとどうなるか」より、連絡先:市民共同オフィスSORA TEL: 06-7777-4935)