アサ・ウィンスタンリー(「ロビー・ウオッチ」より)
翻訳:脇浜義明
モサドと関係があるシュラート・ハデインが、親パレスチナを装って「ユダヤ人をすべて殺せ!」という声明をフェイスブックに書き込んだ。その上で、パレスチナ人の「反ユダヤ扇動」に加担したとして、フェイスブックを訴えた。シュラート・ハディンは「公民権団体」と自称し、メディアもそれを「イスラエルのNGO」「人権擁護団体」、いかにも中立そうな「法律センター」などと呼んだ。
モサドの自作自演が判明
しかし、チュエルシー・マニング(米陸軍兵士で、機密文書を公開した罪で35年の刑)がリークしウィキリークスが公表した米大使館電報によると、まったく話は異なる。シュラート・ハディンのニツァナ・ダルシャン=レイトネル理事長は、モサドとイスラエル国家安全保障委員会から訴訟の指示を受けた、と米外交官に語っている。さらに彼女は、12月29日の「ストップ・イスラエル」と題するフェイスブック書き込みはシュラート・ハディンがやったことだと語り、それはユーチューブ映像で流された。フェイスブック頁では、まずアル=アクサ・モスクに対するイスラエルの脅威の漫画が描かれ、その後で、「アル=アクサを破壊しようとするシオニスト敵に復讐だ! すべてのユダヤ人を殺せ」という書き込み。
シュラート・ハディンは、書き込みは、フェイスブックという巨大なソーシャル・メディアはイスラエルとユダヤ人に偏見を持っているという前提で、それを確かめるための「実験」だった、と説明。同団体によれば、彼らは「ストップ・パレスチナ」と題する書き込みも同時に行ったが、それはしばらくして除去されたので、フェイスブックのユダヤ人差別は明らかになった、というのである。しかし、実際には「ストップ・イスラエル」の書き込みも数日後に消去されたのである。フェイスブックの言い分は、「フェイスブックはヘイト・スピーチを容認しません。すべての投稿をレビューして差別表現があれば除去します。だから両書き込みを除去したのです」というもの。
迫害扇動が蔓延するフェイスブック
フェイスブックの言い分にもかかわらず、イスラエル人がフェイスブックやその他のソーシャル・メディアを使ってパレスチナ人やモスレムへの迫害を扇動する投稿は蔓延している。電子インティファーダはその例を集めてIsraelis on Facebookを作成しているので、興味ある方はネットで読んでください。
シュラート・ハディン{イスラエル法律センター」が提訴した裁判は、ニューヨーク州裁判所で「ラーキン対フェイスブック」の名で争われている。原告は「パレスチナ人テロリストがイスラエル国民に対する暴力的攻撃を扇動する投稿を許すなという禁止命令を被告(フェイスブック)に出せ」と裁判所に要求している。
イスラエルがこのような欺瞞的オンライン戦術を使うのは、これが初めてではない。2200人を殺害した2014年のガザ攻撃のとき、あるイスラエルの学生自治会が「ハスバラ作戦司令室」(ハスバラというのは「プロパガンダとか説明を意味するヘブライ語)をネットで立ち上げ、「現実を知らない外国人に何が起きているかを正しく知ってもらいたい」として、政府のデマ宣伝を流した。
シュラート・ハディンの件は、イスラエルのプロパガンダがますます精巧で複雑になっていることを表すものである。