9月20日自民党総裁選で3選を果たしたアベは、27日さっそくトランプ詣でを行うとともに、日米貿易交渉に臨んだ。交渉とは名ばかりで、米国側からFTAを押しつけられるだけだろうと予測されていた。
案の定トランプ大統領は、日本側のTPPへの復帰要請には一顧だにせず、新たな二国間貿易交渉を要求した。日本側の抵抗感に配慮し敢えて「FTA」との文言を使わなかったものの、合意内容は農産物も含む全てのモノへの関税の削減・撤廃であった。
現に米国マスメディアは「二国間の包括的な貿易交渉を行うことで合意した」と報じた。29日付赤旗は米国側の英文の合意文書を入手し、日本側が発表した「TAG(日米物品貿易協定)」の文言がないことを暴露した。TAGは、あたかも農産物を含まない交渉に限定させたかのように見せかけた浅はかなものだ。
そしてトランプは、首脳会談後「日本は膨大な量の軍事装備品を買うことを約束した」と、勝利宣言したのだ。その最大で高額な軍事品は、秋田県、山口県へ配備される予定の、朝鮮を仮想敵とした「最新の陸上型防衛ミサイルシステム、イージス・アショア」だ。2基で総額6400億円以上と想定されているが、実際の値段は米国防総省の言い値だ。
10月2日発足した第4次安倍内閣は、さっそく日本の改憲、軍備増強にむけた組閣となった。閣僚20人中、公明党の石井を除く19名が神道政治連盟議員懇談会に所属、15人が日本最大の右翼組織「日本会議」に所属・元所属者が占め、靖国派の布陣が敷かれた。
早々に柴山文部科学相は「教育勅語は現代的にアレンジして使える」と発言、自民党総裁特別補佐、筆頭副幹事長という特別優遇された稲田朋美元防衛相は、「自衛隊の敵地攻撃能力の保有」を主張するなど安倍内閣の改憲・軍拡路線を露わにしている。
しかし、30日投開票された沖縄知事選で、政権が総がかりで支援した候補が、辺野古新米軍基地に反対する玉城氏に大敗したことは、安倍政権に大きな打撃となっており、海外メディアは大きく報道している。
AP通信は「アベが3選を果たしたものの、党内の影響力は玉城氏勝利で弱体化し、閣僚の大半に能力とは関係なくアベの腹心を起用し、改憲のハードルを越えようとしている」と報じた。また公明党は「安倍改憲案には服さない」と明言。弱体化する安倍内閣の実像を示した。(編集部・松永)