言わせて聞いて NHK大報道「上半身裸のベトナム人逃亡」

どこに犯罪性があるのか その人権感覚こそ恐ろしい

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松永了一(高槻市民)

犯罪内容すら報道せず

  偶然NHKテレビ9時のトップニュースを目にした。「上半身裸のベトナム青年が職務質問され、拒むと手錠を掛けられ、怖くなって逃げ出し、警官が取り逃がした」。ただそれだけのことで、公務執行妨害だとして、群馬県警は340人の警官を動員し追いかけまわしている、というのがトップニュースだった。
 NHKは警察の下請メディアとなって、周辺の住民から「入れ墨をしていた」「恐ろしい」「早く捕まえて」と声を拾い上げる。アナウンサーは真面目顔して「何か起こらない内に早く捕まえてほしいものです」と、5分間以上も「ニュース」を流し続けた。指名手配までせねばならぬ犯罪の内容は、現在にいたるまで報じられていない。日本語がうまくしゃべれないベトナム青年がおびえるのは当たり前だ。

NHKは権力迎合をやめよ

 この6月にベトナムを訪ね、出会った若い青年たちを思い起こす。アメリカがベトナム戦争で行った残虐行為は目を覆いたくなるものだが、少なからず日本も兵站部隊として加担した。にもかかわらず彼らは不思議なほど親日的で、お金ができたらぜひ日本に行きたいと語っていた。
 今日本で働く外国人労働者は100万人を超え、中国人34万人超に次いで、ベトナム人は17万人以上で、その伸び率は年50%を超えている。人手不足に、政府は勤勉なベトナム人の就労を積極的に進めている。しかし、その根底にあるのは、労働力として認めても人権は認めないという差別意識だ。
 最近もアメリカの白人警官が、「黒人以外殺しはしないから安心しろ」と職務質問した白人に語りかける録音がメディアに流れ波紋を呼んでいたが、日本とて人種差別意識はよく似たものだ。その片棒を担ぐNHKの差別意識と権力迎合にも頭にくる。

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