原発事故被害者切り捨ては世界が許さない

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「世界社会フォーラム in カナダ」で福島の声を伝えて

 

「避難の協同センター」世話人代表 松本徳子

 私は福島第一原発事故により、郡山市から神奈川県川崎市へ母子避難し、自主避難者の住宅支援打ち切り反対運動を行っています。今年3月に日本で開催された「核と被ばくをなくす世界社会フォーラム」で、母子避難当事者として現状を話しました。
 そのため今回カナダのモントリオールにて8月8日~14日まで開催された「世界社会フォーラム」に再び参加のお誘いを受けました。私は「脱被ばく実現ネット」の支援者による渡航費カンパで参加し、福島原発事故と避難者の実情を世界の市民運動へ訴える事になりました。
 空港に着くと、今回お世話になる長谷川澄先生が温かく出迎えて下さいました。またフランスを軸にした居住問題の国際ネットワーク「NO-VOX」「FRAPRU」の方々の御世話で、1日目は1960、70年代に始まったモントリオール中心部の再開発の中で住民が闘かった場へ。住民が団結して、再開発された場所の一部に協同組合型の住宅を建設し、コミュニティのクリニック、保育所、畑なども作りました。そうしてショッピングセンターに売る事が決まっていた廃業した鉄工場の広大な土地を周りの住民と小売商などの強い反対で市議会が住宅地にすることができました。
 さらに低家賃の公営住宅から、中・上流向けの建売住宅までが混在するようになった所、歴史遺産的価値のある工場の外壁や屋根を残したまま協同組合型の集合住宅にした所などを見学させて頂きました。そこでは住民が一丸となって努力すれば、人間が生きて行く上で一番の住宅問題は解決出来ると学びました。
 2日目、3日目はケベック大学での「住宅・街・土地の権利」と、「反核」をテーマにした部門などで福島原発事故による被害や避難者の問題を話す機会を頂きました。今後災害救助法で避難者が与えられていた住宅支援が、2017年3月末までに打ち切られることにより、多くの人々が路頭に迷うことなどを、通訳を通して世界各国代表の方々に伝えるチャンスを与えて頂きました。
 そこで、各国の社会問題、住宅問題もたくさんある事も知りました。世界各地で家を失う人々の住宅問題や、特に深刻なアフリカのマリの土地問題もある中で、私たちの問題も大切なテーマだと世界各国の代表の方々が理解して下さり、私たちの話に耳を傾けて下さいました。それはモントリオール在住の通訳の先生の方々の無償な協力が無ければ成り立ちませんでした。この場を御借りして御礼を申し上げたいと思います。

住宅支援継続の人権宣言を作成

 そして4日目の午前中は子どもの貧困の部門に参加、福島の子どもたちが被ばくを余儀なくされた問題を話すことができました。
 午後の住宅部門のデモでは「FRAPRU」代表のフィリップ氏が、私やアフリカのマリの代表と、モントリオール在住の通訳の御二人が横断幕を持って先頭に立つ準備をして下さり、デモの解散時もスピーチの時間を与えて下さいました。緊張のあまりうまく話せたかは疑問でしたが、私の言葉を通訳して下さった浪岡先生のお陰で伝えることができました。本当に皆さんの優しさに感謝でした。
 5日目は「NO-VOX」のオフィスでの「総括の日」に「脱被ばく実現ネット」の柳原弁護士、メンバーの岡田氏、通訳の二人と私が招待を受け、素晴らしいランチを御馳走になり、ここでも皆さんの温かいおもてなしに感謝でした。「NO-VOX」「FRAPRU」の方たちは、「住居は人間の基本的な権利であり、全ての人が快適な住居を持たなければならない」という考えです。そのため今年10月17日からエクアドルのキトで開催される国連の住居問題会議に合わせて、日本でも原発事故避難と住宅支援打ち切りの問題で何らかの行動を起こせるよう話し合いを重ねました。
 そこで決まった言葉があります。「福島の避難者に連帯する立場で、住民の健康と安全を侵す放射能基準値の変更を告発し、住民の移住と賠償を要求し、今後の避難者の行動を待って、団結の行動を起こす」でした。そこで「総括の日」の会議で決めた文面も含め、柳原弁護士が寝ずに人権宣言の総論をまとめて下さいました。その署名に各国の方々がサインをしました。
 最後の6日目は通訳の皆さんとランチをし、モントリオールを楽しんでいない私達を野菜、果物の素晴らしく豊富なジャンタロン市場に連れて行って下さいました。
 その後ジャリー公園で柳原弁護士がまとめて下さった署名を持って通訳の皆さんが必死に周って下さり、人々が「デモで見たよ」と言って優しくサインをして下さいました。また、スイスのジャーナリストの方からの取材を受けここでも福島原発の現状を話すことができました。
 人種を越え、言葉も越えて世界の人々が理解し合い、問題を解決する努力も共有出来ると事を学ぶことができた瞬間でした。慌ただしい毎日でしたが、とても貴重な経験をさせて頂いた本当に素晴らしい日々でした。

世界中で連帯行動

 無事に帰国後、9月3日に東京でWSF参加報告会を行いました。通訳の7名の方々や上智大学の稲葉先生にも大変お世話になりました。10月13日にはカナダの首都オタワにて皆さんが住宅支援打ち切りの抗議デモや日本大使館への抗議などを行い、NPO団体「ハッピーロード」が汚染されている福島6号道路を子どもたちに清掃をさせる企画を撤回する事も要求して下さいました。私たち「脱被ばく実現ネット」も10月22日に東京の新宿でデモ行進を開催し、パリでは 「NO-VOX」や「DAL」など多彩な皆さんが日本大使館に同時抗議を行いました。カナダWSFへの参加を機に日本政府へ世界中で抗議が広がっています。
 国、東電、福島県には、もしも原発事故が起きた場合は原子力防災予防原則という手順が決まっていたにも関わらず、放射能核種の汚染物質を測定せず、安全基準を勝手に緩め、市民をだまし、無用な被ばくをさせた責任があります。住宅支援打ち切り問題や市民の健康調査を拡大する事、避難の権利、生存権の重要性を訴えたいと思います。
 福島第一原発事故は今も緊急事態宣言を発令したまま、解除されていません。今も危険な状態だという事です。原子力産業が続く限り、この問題は被害者を拡大し続けると思います。
 私たちが置かれた状況を多くの方々と共有し合い、市民一人ひとりが現実を知り、眼を反らさずに向き合い、正していき、素晴らしい世の中を未来ある子ども達にバトンタッチ出来る様に、今私たちが出来る事をしなければいけない! 私は世界社会フォーラムに参加したことで沢山の仲間ができました。今後も頑張っていきたいと思います。

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