問われるのは自らの日常現場

2016参院選総括(大阪)

  

豊中市議 木村真

 今回の参院選で、私は、特定の候補者の選対には一切加わらなかったが、各野党に対して共闘を、有権者に対しては野党候補への投票を呼びかけた「ミナセン(みんなで選挙)大阪」には多少は関わったし、地元・豊中での市民アクション(昨年9月の戦争法強行成立直前に豊中市内で行われた、超党派の集会・デモ)実行委の枠組みでの、豊中市内各駅頭での安倍政権批判と改憲阻止を訴えるアピール行動、いわば「野党共闘勝手連」にも積極的に関わった。市議としての自分の通信・ニュースの送付や個別の電話かけにより、野党候補(最初は共産党の渡部結、共産党嫌いの人には民進党の尾立源幸)への支持を呼びかけたりもした。
 そんなこんなで、強く応援する特定の一人の候補者がいない選挙としては、今までで一番力を入れて取り組んだのだが、結果は、野党共闘に一定の効果はあったものの、それでもなお、改憲勢力に参院でも2/3を握られてしまうという、大変厳しいものとなった。
 大阪選挙区については、ミナセンはじめたくさんの市民が「棄権せず選挙に行って、政治の流れを変えよう!」と訴え、安倍政権批判と野党への支持を呼びかけたが、はっきり言えば、投票行動には結びつかず、効果はほとんどなかったと言わざるを得ない。
 ミナセンほかで私たちが訴えたことは2点。一つは「選挙へ行こう」「棄権せずに投票しよう」だが、大阪選挙区の投票率は、2013年の前回参院選が52・72%に対して今回は52・23%と微減。投票率を上げることなど全くできなかった。
 もう一つアピールした点、「政治の流れを変えよう」についてはどうか? 自民党の得票は、前回81・7万票が76・1万票と、5万票あまり減った。得票率で言うと、22・3%から20・4%へと微減している。私たちの宣伝の成果だと言いたいところだが、残念ながらそうではない。共産党候補は、前回46・8万票から今回45・4万票、得票率では12・8%から12・2%と、むしろ微減。民進党(旧民主党)も、前回33・7万票→今回34・7万票、得票率前回9・2%→今回9・3%。野党票は全く増えていないのだ。公明党もほぼ前回並み、得票率で1%未満の変動があった程度。
 では、減った自民票はどこへ行ったのか? おおさか維新である。前回は候補者1人で105・6万票に対し、今回は候補者2人で計139・7万票と、34万票も増やしている(得票率では28・8%から38・4%)。ただし、維新の爆発的勝利とも思わない。34万票増という数は、「減った自民票+前回立候補していたみんなの党と新党大地の得票+18歳選挙権による総投票数増」を合計すれば33・6万となり、数合わせとしては説明がつく。
 以上をまとめると、①ミナセンはじめ市民や市民派議員らが、投票率上昇と野党応援のため動いた効果は、ないに等しい。②維新は思ったほど勢いが落ちておらず、イメージで動く浮動票や現状に対する不満の受け皿としては、以前と変わらず存在感を示したが、他党の固定票を奪うほどの力はない。…というところだろうか。

普通に自分らの運動をやろう!

 ミナセンや豊中での野党共闘勝手連に関わって痛感したのは、「ゼロか100か」で中間のない運動は弱い、ということ。熱心な活動家・運動家はいるのだが、拡げるためにできることが駅前宣伝やポスティングなど不特定多数に訴えることだけ、というのは、運動としてあまりに弱すぎる。これは、2014年暮れの総選挙の後で、やはり『人民新聞』に書いたことと、ほとんど同じだ。あの時は、大阪8区(豊中市)から立候補した服部良一さんを市民選対が懸命に支援したが、結果は惨敗。市外から熱心な支援者が大勢やって来て、駅前やスーパー前、商店街等でにぎやかな宣伝を繰り返し、陣営内部は大いに盛り上がったが、票には全くつながらなかった。
 今回も、同じことを繰り返してしまった感がある。この1年半の間、私たちは、自分たちの本来のフィールド、各運動領域で、いったいどんな活動をしてきたのか、ということこそが問い直されねばならない。選挙戦術上の巧拙など些細なことだ。
 選挙だからと特別なことを考えるのではなく、日常の、自分にとって本来のフィールドでの運動課題を、いかに社会に広げていくかを、常に考える。何かをやった気分になれる不特定多数へのアピールばかりに逃げてしまわずに、顔と名前が一致する身近な人に対して、きちんと話をする。これを続けて行かないと、結局、運動は広がらないし、社会変革なんてできない。社会変革とは、煎じ詰めれば、賛同者を増やすこととほぼ同義なのだから。賛同者を増やせず、少数派のままでは、選挙でも勝てないのは当然だ。
 政党ではない私たちにとって、選挙は社会変革のための手段であり方法であり、道筋の一つでしかない。私たちは、それぞれの運動テーマについて活動しているのであり、運動が広がれば、結果的に選挙でも勝てるというだけのこと。選挙は目的でなどないのに、選挙が終わった途端、「次の選挙はすでに始まっている」などという話を聞くと、心底げんなりする。
 普通に自分らの運動をやろうや! 選挙は、頭の片隅で意識しといたら十分。普通の日常活動を、きちんと話をして賛同者を増やす地道な作業を、丁寧に続けていこうや!

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