沖縄通信 日本政府の沖縄差別を引き継いだ在沖米軍の犯罪

米軍機による沖縄女性暴行・殺害・遺体遺棄事件 糾弾

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編集委員 脇浜義明

 5月25日午後、嘉手納基地第一ゲート前で、米軍属による沖縄女性暴行・殺害・遺体遺棄事件に抗議する集まりに参加した。スケジュール集会ではなく、怒り悲しむ個々人が4000人集まった。
 被害者女性が住んでいたうるま地区から来た老人は、「戦時ならいざしらず、こんな平時に殺されるなんて!」と嗚咽した。その戦時に数え切れない民間人が殺された。だから、基地がある沖縄はまだ戦時なのだ。となりにいたおばさんが、「あたしにも同じ年頃の娘がいるんですよ」と、泣きながら話した。その時、「時期が悪い」と言った菅官房長官の言葉を思い出した。政治的計算で物事を考えるあの男には、人間の感情はあるのか、あんな男を政治的指導者に置いていてよいのかと、怒りが込み上げてきた。福島から参加した人が「沖縄は基地から、福島は放射能から逃れることができない。だから闘うしかない」と言った(この人とは再び辺野古で会った。沖縄は初めての訪問だと言っていた)。みんな心から悲しみ怒った、人間の集会だった。
 同じ頃、安倍とオバマが会見。安倍は「強く」(マスコミ報道によると)抗議、綱紀粛正を求めたという。しかし、日米地位協定改定要求をしなかったし、翁長知事が要求したオバマとの会見も無視した。オバマは「遺憾の意」を表明したが、謝罪はなかった。
 20年以上も前、私が小さな独立労働組合の委員長をしていた頃、組合員の息子が沖縄で米兵に轢き殺される事件があった。そのときの闘争で、日米地位協定改定を要求の一つに挙げた。米軍に、「謝罪に来い」と要求、犯人の米兵はやっとやってきて、位牌の前で手を合わせたが、こちらが要求した犯人個人による賠償を逃げ、本国へ逃げ帰り、日本政府が賠償した。その日本政府の外務省北米局長に対し、「せめて、同じ敗戦国のドイツと同じ程度の地位協定に改訂しろ。これではまるで米国の属国ではないか」と要求したが、「運用面で対処します」との返事。未だにそうである。あいつらは本当に日本国の政治家なのか? 「美しい国」日本の代表なのか? 私は民族主義をあまり好まないし、ましてや国家主義者ではないが、それでも「売国奴」と言わざる得ないほど、安倍たちは国辱的行動をしている。
 安倍が求めた「綱紀粛正」だが、英国のジャーナリストのジョン・ミッチェルという人が情報公開請求で入手した、沖縄海兵隊用研修資料(25日の「沖縄タイムズ」一面に掲載された)によると、(1)沖縄人は非論理的で感情的、(2)沖縄政治は本土の罪の意識を利用、(3)沖縄政治は基地問題を予算獲得の「テコ」にしていることを、海兵隊員に教え、「綱紀粛正」らしいものといえば、お前たちは「ガイジン」だから女の子からモテるが、「我を忘れないように」と諭す文言のみ! ミッチェル氏はこれをウェブで発表すると言っているらしいから、検索して、戦勝国米軍の思いあがった偽善を見てほしい。
 50年以上も前、20代の私は、船で占領下の沖縄を訪問したことがある。まだ米軍の艦砲射撃の跡が白っぽいホコリとなってサトウキビ畑や舗装されていない道路を包んでいる頃だった。船長から上陸にあたって、「沖縄は極度の水不足だから、節約して水を使うように」という注意があった。そして上陸した本土観光客が見た最初の光景は、基地の金網の向こう側で、米兵がじゃぶじゃぶ水を使ってジープを洗っている光景だった。これを見たヤマトの観光客は、「にわか民族主義者」になって、通りすがる米兵を敵対的な視線で睨みつけたものだ。米兵は、相手が本土の人間だと分かると道を譲ったが、相手が沖縄人だと、決して道を譲らなかった(その頃のヤマトでは、「沖縄の日常語は英語」と、本気で信じていたほどだった。沖縄の「復帰運動」が新聞報道されていたにもかかわらず)。
 あの頃とまったく同じである。沖縄人を見下すメンタリティは、「研修」の形で米兵に継続的に伝えられているのだ。その背景にあるのは、「本土」の沖縄人差別であることは明白で、研修を行う米軍は、研修内容を日本政府から得ているのだ。
 翌日、安倍が各国首脳を偽の天照大神信仰の拠点といわれる伊勢神宮を案内しているとき、私は歌手で古代史研究家の海勢頭豊さんの案内で、南城市にある史跡・玉城城を訪問していた(玉というのは「まがたま」で、ジュゴンの象徴だと、海勢頭さんの解説)。海勢頭さんによると、卑弥呼は奈良を追われ、淡路、四国を経て、当時の文化の中心地・琉球へ来て、この玉城の門を通して東から上る太陽に当たり、神となって倭国の世直しに出陣、宮崎に上陸したという。「では、我々も岩穴となった門跡から太陽を浴び、安倍退治に出陣しよう!」と語り合った。

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