視点・論点 高市「電波停止」発言は不法なメディア脅迫だ

国連特別報告が安倍政権の言論抑圧を批判

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編集部 脇浜義明

 国連の特別報告者=デービッド・ケイが、4月12日から19日までの一週間、日本の言論報道実情に関する調査を行った。調査結果の報告書は、来年に国連人権理事会に提出される。
 しかし、記者会見でその一部を発表しているのがユーチューブで流れ、内外の新聞でも報道された。「ケイのコメントは、アジアで最も民主主義が実っているはずの国で、安倍政府が報道の自由を組織的に弱め、批判的な声を黙らせようとしていることを、初めて国際社会が公式に認めたもの」と、『フィナンシャル・タイムズ』が書いた。
 「私がインタビューした多くのジャーナリストは、匿名を条件にして、政府からの強い圧力を感じ、上司から記事を政府の政策に合うように書くように圧力を受けた、と話してくれた」と、ケイは記者会見で述べた。「有力政治家からの間接的圧力で沈黙を強いられたり、仕事から外された記者も多かった」。
 また、彼は安倍首相の言論統制の例として、友人で思想的に同質な籾井勝人をNHK会長に選んだことや、彼が総務大臣に任命した高市早苗が「政治的偏向の放送人を下ろせ」と言ったことを取り上げている。ケイは、「高市大臣の発言は、法律に基づくものでなく、メディアへの脅迫だと思う」と、記者会見で言った。そして、日本政府にメディアへの干渉を止めるように勧告した。
 しかし、同時に、日本の言論界の不甲斐なさをも批判した。彼は、メディアが団結し、独立と自律を守って政府に抵抗することは、そう難しいことではないはずだ、と言った。
 彼は新聞記事の取り消しや、政府を批判する記事を書いたために降格、転勤、退職に追い込まれた記者と面談した。そして、「終身雇用を原則にする日本の大企業では驚くべきことですね」と語った。

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