4月28日(土)午後2時~5時
会場:高槻市立生涯学習センター 第3会議室 ※高槻市役所北側の建物
資料代¥500
(報告)後藤 元
主催:ルネサンス研究所・関西
井上靖・崎山政毅『マルクスと商品語』(社会評論社)が出版された。『資本論』冒頭の商品論の解釈とそれに基づく商品批判の視座が提示されている。
報告者は、資本論解釈をめぐる学説史的検討を行う力はもとよりないが、榎原均が『価値形態・物象化・物神性』(資本論研究会)や『資本論の核心』(情況新書)などで展開してきた議論と併せ、それぞれの商品批判の射程について、実践的見地から検討したい。
原文テキストの緻密な読みから、『資本論』の難問を解く重厚な考察。
本年一番の大著が出来上がりました! 井上康、崎山政毅/著『マルクスと商品語』を刊行です。
以下、目次詳細を掲載します。
内容概説
本書の目的は、『資本論』冒頭商品論の解読であり、それを第二版以降に述べられる「商品語」という概念に焦点をあてたうえで遂行するものである。
「商品語」という一般には聞きなれない用語について、人間語と対照させて、そのおおよその輪郭を明らかにしたのが、第一部であり、本書の序論に当たる。
第二部は本論である。『資本論』冒頭商品論をまったく新たな視点から捉え、従来の解読を刷新することを目指した。従来流布していたほとんどすべての読みを覆し、 『資本論』冒頭商品論の精確な読解をなせた、と自負している。
第三部は補論というべきものである。第三部草稿まで含めた『資本論』全体を踏まえて、今日の資本主義を批判するという課題は今後のものであり、そのための準備作業に相当する。
現時点でわれわれが把握・研究・分析をなしえた上で叙述可能なことどもを、できるかぎり直截的に述べた。そこでの鍵となるのは、架空資本の概念である。マルクスによるこの概念を復権させ、 その新たな内容展開を目指していきたいと、われわれは考えている。そのため、架空資本の運動について、われわれの研究と分析が今現在可能なかぎりでの内容を、本書第三部で提示したつもりである。
本書は、今日の資本主義を全面的かつ批判的にとらえ、人間のあるべき未来に向かう力のありようを明確に打ち出すまでに、残念ながらいたってはいない。未だ途なかばと言い換えてもよい。
新たな地平を切り拓くには、マルクスが求めた「なにか新しいものを学ぼうとし、したがってまた自分自身で考えようとする人びと」を、われわれもまた必要としている。
その意味で、本書が志を同じくする仲間との出会いの場となり、変革の契機たらんことを願うばかりである。
※本書「はしがき」より抜粋
♦著 者 略 歴 井上 康(いのうえ・やすし):1948年生。京都大学工学部・教育学部卒、同大学院教育学研究科博士後期課程退学。予備校講師など。