3月10日(日)18:20開場、19:00上映スタート
会場:キノキュッヘ(国立市西2丁目11-32)
了金¥3000+1ドリンク(予約限定35名)
(スペシャルゲスト)ゲスト太田惠資(バイオリン)牧瀬茜(踊り)藤井良行(サズ)
「ロマのホロコースト:ポライモス」のこと
戦前ヨーロッパには約200万人のロマがいましたが、ナチスドイツとその枢軸国によって20万人から50万人が殺害されたと言われています。
戦後、ナチスドイツによるユダヤ人虐殺に対しては、ドイツ政府ならびに多くの国家機関が遺憾の表明をし、個人的及び集団的な補償がなされました。しかし同じように虐殺されたロマに対しては補償どころか、差別が継続されたのです。
ドイツの連邦裁判所は、1956年に、ナチスの「ジプシー」に対する人種政策は犯罪予防的なものであったと宣告。これにより、犯罪を犯したわけでもないのに収容され、強制的不妊手術を受けさせられたり、ドイツ国外に移送された何千人ものロマの被害者に対する補償は事実上閉ざされました。1979年後半になって初めて西ドイツ連邦議会がナチスによるロマの迫害を人種差別的動機によるものと認め、ナチス政権下での苦痛や損害に対する補償を請求する資格をほとんどのロマに与えました。しかし、この時点で資格を得たロマの多くはすでに亡くなっていたのです。
2008年に欧州人権委員会のトマス・ハンマーバーグ氏が、台頭する反ロマ主義に対し批判しました
「今日のロマに対する誇張は、30年代40年代に始まった大量虐殺直前のナチ及びファシストが用いたものと酷似している。再び、ロマが安全と公衆衛生の脅威であるという議論がされている。ロマ社会における一握りの犯罪者と圧倒的大多数を全く区別していない。それは恥ずべきことであり、危険なことである。」
今現在、世界中で移民や難民といった弱者を排他的に扱うというナショナリズム的な考えが加速しています。日本国内でも朝鮮の人たちや中国の人たちに対するヘイト的で聞くに堪えない言葉が発せられたり、そうした出版物さえ本屋で山積みにされるのを見るとき、戦前の気分が蔓延しているのではないかと危惧します。
ロマのホロコーストを振り返り、その歴史を記憶にとどめる事、過去の過ちを心に刻み、二度と同じ過ちを繰り返さないこと。そのために、あらゆる表現の現場において、体制に利用されることなく、自由な表現を追求することを大切な事として思い続けたい。今回の「ノマド2019」が私たちが今の現実を生き抜いていくための一助になればと願っています。
主崔:キノキュッヘ