化石燃料企業・世界の政治家に 環境保護を訴える若者たち  ジャスキラン・ディロン Truthout, 2019.9.19 翻訳 脇浜義明

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「私たちには未来への権利がある」

環境破壊の最大の被害者は 貧困・先住民地域の人々

 「何かしなければ生きる力が奪われる」と、16歳のサビラ・マフムードが言った。彼女は、気候正義を要求する「ユース・クライメイト・ストライキ」のペンシルバニア州責任者だ。彼女は真剣な顔つきで、若者のリーダーシップがなぜ必要かを説明した。「私たちには未来への権利がありますが、その未来が危うくなっています。『将来の夢は?』と聞かれますが、答えられません。未来が本当にあるのかどうか分からないからです」。  

その未来を求めて、マフムードら数百人の生徒たちが、9月20日に学校ストを敢行。街頭で化石燃料企業へ抗議、人々への情宣活動、世界の政治家たちに地球保護を訴えた。  

16歳の高校生レイル・アバシェラもストに参加した。「10年間も待っていられません。高校生活は1年半しかないのです」と彼女は語った。  

こういう会話がフィラデルフィアで起きていることは重要である。フィラデルフィアは、黒人への暴力、貧困と犯罪、有色人社会の隔離の歴史と関連する環境レイシズム(人種差別主義)の長い歴史があるからだ。公益法律センターによれば、貧困地域や有色人コミュニティは、石油・ガスによる大気汚染の影響を最も受けてきた。そのため、喘息、癌、うつ病、統合失調症が異常に多い。  

ところが2019年7月、市議会はすでに環境汚染の被害地である南フィラデルフィアにLNGプラントの建設を許可した。マフムードたちは、「サンライズ・ムーブメント」の若者たちといっしょに、建設反対を訴えて、街頭デモを行い、地域での反対の声を高め、市の公聴会でも発言した。  

白人中心の運動を超えて 最大の被害者=先住民と連帯

「ユース・クライメイト・ストライキ」の綱領は、マフムードやアバシェラのような有色人活動家に、環境レイシズム(貧しい黒人街や先住民地域に環境破壊施設を作るアメリカの環境政策)や、気候危機の根本原因に取り組む場を提供している。スト委員会が認めた要求項目は、基本的にグリーン・ニュー・ディール運動に基づいている。それは、汚染最前線地区への経済対策、先住民との条約厳守と先住民主権の尊重、住宅や教育への長期的投資、再生可能エネルギーへの転換、そして格差を作り出す経済政策と構造の転換などだ。  

しかし、経済システムの根本的変化を呼びかけるだけでは、部分的な答えしか得られない。マフムードらにとっては、気候危機の最大の被害者である人々やコミュニティのために誰がリーダーシップをとり、誰を組織化するのかが、大きな関心事である。運動の方向や社会変革の政治的目標を形成するうえで、指導部の力が重要だからだ。  

マフムードやアバシェラらは、白人中心の環境保護運動に挑戦している。「黒い皮膚と褐色の皮膚の参加が少ないため、先住民、黒人、褐色人の指導力、経験、知識を高めるために『ユース・クライメイト・ストライキ』に参加している。周辺部の人々こそが気候変動の最大の犠牲者であるにもかかわらず、彼らの存在が過少評価されるか、論じられないことすらあるからだ」。   

マフムードは、国境警備の暴力に怯えながら米国へ逃げ込む難民・移民を含め、気候変動で居場所を追われた人々の数が増えていることを例にあげて、移民出身の若者をこの運動に参加させる重要性を訴えた。マフムードは、「気候正義運動が国際主義的になる必然性がある」と強調する。  

グリーン・ニュー・ディール運動の限界を超えて広がりを見せる先住民の「レッド・ディール運動」(先住民解放運動と反資本主義運動を結合した運動)や、黒人、ラテン系、有色人移民などと結びついて幅広い連帯基盤を作ろうと、マフムードらは頑張っている。

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