【視点論点】少数でも仲間と原則的に 支援基盤を固めること 編集委員 脇浜 義明

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 ポピュリズムは、過激化あるいは武闘化と、刹那的人数の多さを頼り、誇示する傾向がある。私も若い頃は過激派と呼ばれた。しかし、過激派と原則主義派とは異なる。非暴力行進を行ったキング牧師は、支援者を増やすために妥協や譲歩をしなかった。白人の支援は必要だが、それを待つ必要はないと活動家に説いた。その意味で彼は原則主義者であった。  

エリカ・チェノウエスというデンバー大学の教師が2017年4月に発表した「今日の非暴力行進」というメディア・レクチャーの中で、「1900年から2006年までの非暴力的市民抵抗キャンペーンは暴力的な運動の2倍の成功を収めている」と分析している。彼女は「3・5%規則」を発見した。政府は国民の3・5%の挑戦に耐えることができないというもの。つまり、政策を放棄するか政権崩壊するというのだ。換言すると、世の中を変えるためには必ずしも大多数の同意は必要ないということだ。  

例えば、1960年代のギャラップ世論調査によれば、大多数の米国人は公民権運動の戦術を支持せず、あのワシントン大行進(1963年)に賛成した米国人は4分の1以下だったという。けれども翌年、米政府は公民権法を成立させた。  

このことから、著作家レベッカ・ソルニットは新著の「本当の名前で呼ぼう」(Granta Books・2018)の中で、「換言すれば、変革を勝ち取るためには、みんなに同意してもらう必要はないのだ。必要なのは、少数でもカネを出し、会合や相談に出て、デモに参加し、逮捕や怪我の危険を覚悟する人々で、彼らの情熱が多くの人々に影響を与えるかもしれない」と書いている。  

安倍が政権を握って以降、左派とリベラル派の連合が言われるようになった。それはそれで必要なことだが、人数を増やすために左派は大幅な妥協や譲歩をしてまでリベラル派に取り入る必要はないだろう。やはり原則的行動とビジョンこそを大切にしなければならない。

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