【台湾 金門】軍事国家の歪み―次世代への継承を 柴田 鉄也(ジュゴン愛好家)

LINEで送る
Pocket

第6回「平和の海国際ピースキャンプ」に参加

 9月6~8日にかけ第六回「平和の海国際ピースキャンプ」に参加するため、台湾・金門を訪れた。ピースキャンプは、世界各地から参加者が集まり、互いの経験を共有し、共に学び、平和について考えるイベントだ。参加者の多くは青年だった。  

初日、呂光楼の台湾国軍兵士を称えるための戦史館では、対中国共産党軍の戦闘で活躍した兵士が授与されたメダルなどが展示されていた。授与された兵士の家族は罪を犯しても不問にされる特権があった。  

金門島は、中国と20キロメートルの距離。国共内戦の最前線だった。古寧頭戦史館は1979年の砲撃停止を受けて開設された戦史館で、地下壕と繋がっていた。  

北山放送壁は、巨大な壁にスピーカー48個が備えられ、その音は25キロメートル先まで届く。  

2日目は金門の中学校で、校長と県議の講演会。校長は、内戦時における心理戦の激しさを語った。  

「少年だった当時、『中国に来ることを歓迎する』趣旨のビラが撒かれました。こっそり持ち帰ると、家で警官が待ち構えていましたが、説明して難を逃れました」。議員は「地下坑道をはじめとする戦争遺跡を保存し、次世代に記憶を継承する。また、遺跡は島の観光地にもなる」と構想している。  

日本を模倣した 兵士の「慰安所」

午後は島の中央に位置する古い集落を歩いた。特約茶室または「軍中楽園」と呼ばれる展示館に行った。小金門(金門の隣の小さな島)と合わせて11施設もの国民党軍兵士のための「慰安所」があったという。参加者の一人で地元小学校教員の女性によると、「1992年に閉鎖されたことになっているが、最近まで利用されていたことが判明している」。  

展示説明の物足りなさや女性の描き方がきらびやかで、いかにも自由な性の営みをしていたかのような誤った印象を与えかねない展示だった。  

実際は、貧困により台湾から売られた女性たちは烙印を押され、一生の恥とされる差別と暴力のシステムだ。これは日本軍「慰安所」を模倣した制度で、金門にも日本の軍事主義と植民地主義・ミソジニーの残骸が垣間見られた。  

夜のシンポジウムでは「平和とは何か、各国の課題」をテーマに討論・発表した。  

最終日は、「出操」制度について説明を受け、各国の「軍事主義と性」について討論した。「出操」とは16~25歳までの未婚で妊娠していない全ての女性を対象とする軍事訓練のこと。彼女たちは訓練中も、ケア役割や女性らしさを求められ、家でも家事労働を担わされていた。  

また香港の参加者は、「こんな大変な任務をしているのだからストレス発散になる」と発言した警官を例に挙げ、警察による監獄での身体検査・性暴力の問題を報告した。  

「徴兵制は男性だけではなく、女性にも影響を与え、軍事主義は必然的に女性差別を孕んでいる(韓国からの参加者)」が印象的だった。  

空港に到着し、来年のキャンプ候補地ハワイの是非や今回の反省点・感想を話し合った。参加者は、(1)議論の時間が足りなかった、(2)エコロジーの実践(箸や水筒の持参や肉を食べないことなど)、(3)ハワイやグアムの先住民とも「島連帯」を創っていく必要性を感じていた。  

東アジアの民主化運動の熱気や情熱が感じられた旅や議論だった。今こそ日本の民主化が問われている。

LINEで送る
Pocket