トランプはイラン大統領と会えるか? ジュアン・コール 出典:『インフォームド・コメント』2019・9・11 翻訳 脇浜義明

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ボルトン国家安全保障問題担当補佐官を「罷免

 ボルトン国家安全保障問題担当補佐官が、トランプに罷免された。ポンペオ国務長官とムニューチン財務長官が、トランプ大統領は「無条件で」イランのハサン・ロウハニ大統領と会う用意があると語った。同時に二人は、米政権がイランに対して「最大圧力」を続けるとも語った。  

イランは、民生用核濃縮計画への規制を徐々に緩和してきた。また、ホルムズ海峡における外国タンカーに対するイラン軍の活動も活発化してきた。論理的に言えば、イランが石油輸出できなければ、湾岸産油国も石油輸出できない。  

ボルトンの狂気の第三次世界大戦の企ての一つが、ホルムズ海峡でイラン・タンカーを英軍に拿捕させたことであった。英領ジブラルタルの最高裁判所は、この拿捕の法的根拠を認めず、タンカーの即時解放を命じた。イランに対するEUと米国の姿勢をよく示している。  

イランは報復として、英国旗をつけた船舶を拿捕。英国の冷静な判断がなければ、このことによってボルトンの思惑通りの、戦争という恐ろしい事態に発展していたかもしれない。  

またボルトンは、イランが領海内に侵入したとされる米ドローンを撃墜したことを受け、6月半ばにイラン空爆を命じた。彼の数十年間にわたるイラン空爆の夢がいよいよ実現し、絶頂に達すると思われた瞬間トランプの空爆停止命令が出た。  

トランプは、対イラン強硬姿勢で経済戦争を仕掛けているが、同時に大統領選に向けての支持基盤が、中東でこれ以上血とカネを浪費することに嫌気をさしていることも知っている。ジョージ・W・ブッシュのイラク戦争は、傷病兵の医療費も含めると、6兆ドルもかかった。米国は22兆ドルの赤字財政である。  

選挙に向け、人目を惹く外交成果が 必要なトランプ

ボルトンは財政に関係なく、根っからの戦争好きで、トランプは、もしボルトンの言うとおりしていたら米国は4つの戦争をしていただろう、と半分冗談で言っていた。  

トランプは北朝鮮とやったように個人的頂上会談で何か具体的成果をもたらさなくても、単にカメラ・ショーを演じたいだけだ。彼はタリバンとのトップ会談のカメラ・ショーをも望んだが、9・11記念日が近いときにタリバンをキャンプ・デービッドに招くことへの周囲の反対に押され中止した。  

トランプが、北朝鮮と同じようにイランと頂上会談をやるかどうか。8月末にロウハニ大統領は、イランに良い結果をもたらすならトランプと会ってもよい、と仄めかしたことがあったが、イランの宗教指導者アリー・ハーメネイー師に叱責され、考えを翻し、米国が経済封鎖を解かない限り会談はしない、と言い直した。  

ボルトンを追い出し、タリバンとの頂上会談ショーも挫折。トランプとしては、2020年選挙に向けた人目を惹く外交成果が何としても欲しい。彼は、中東から撤退し緊張を緩和すれば自分の支持基盤を固めることができる、という固定観念を持っている。だからシリアからの米軍の引き揚げや、アフガニスタンからの撤退も考えている。そういう背景から考えるとイランについても舞台裏では、まだ頂上会談を模索しているのかもしれない。

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