【NO!安倍農政】種子法廃止と規模拡大化 は亡穀への道  宮城県・船形山のブナを守る会代表世話人・小関俊夫さん―聞き手 編集部・山田

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6月の参院選、東北地方では、6選挙区中4県で安倍自民党候補が落選した。3年前の前回参院選でも同様な傾向が見られ、農家の根深い安倍農政への不信があることが見て取れる。宮城で出会った小関さんに、種子法廃止と大規模化について話を聞いた。 (文責・編集部)

 種子法は、戦後の食糧難時代に「二度と国民を飢えさせない」という強い使命感で制定されました。地域で気候が違うために各県ごとに、風土に合わせた品種改良を促しました。地元の宮城県古川農業試験場は、「ササニシキ」、「ひとめぼれ」を産み出し、地元農家に大きな貢献をしましたが、種子法廃止で古川農試はなくなるかもしれません。宮城県は条例を作って維持しようとしていますが、国が基本方針を出さずに県の予算だけでは無理が出てきます。  

私は37年自家採種してきました。私の田んぼのササニシキは、ここの気候風土に適応して変わってきているはずですが、種の自家採取は自給分に限られます。販売用は、基本的に禁止なので、種苗メーカーから買わねばならなくなります。  

「ひとめぼれ」は、現時点で自家採取が認められていますが、販売するとなるとDNA検査をしなければなりません。農協から買った種ならDNA検査はいらないので、結局買わざるを得ないのです。つまり、自分で育てた稲から採った種を使ったら犯罪となるのです。  

農業は自分なりの創意工夫があるから楽しいのであって、決められた種子で指定された農法でやるのは、農民の矜持とやる気を殺ぐ政策です。  

種子法廃止による最大の弊害は、日本の農業が利益を追求するだけの外国の大手資本に乗っ取られてしまう不安です。モンサントのように種と肥料と農薬がセットになった農法が席巻し、ゆくゆくは、遺伝子組み換え作物につながっていきます。  

大崎耕土は、世界農業遺産に認定されましたが、遺伝子組み換え品種が作付けされた風景・風土とは、どのようなものでしょう。食の安全は、世界農業遺産は、維持できるのでしょうか。奥羽山脈のブナの森から流れくる水は、田を潤し、海に流れて海産物を育みます。この悠久の流れをけがしてはならないのです。  

先が見えない不安 離農を招く

我々世代の農家は、瀬戸際に立たされています。現在の米価だと、やっていけません。農機具更新がきっかけとなって、離農する人はたくさん出るでしょう。  

私の農場は、孫が継いでくれればいいと思っていますが、一方で、専業農家として食っていけるのか?という不安があります。「大丈夫だから」とは言えないのです。民主党時代に作られた個別所得保障制度は、中小零細農家にも目を向けていますよという政府のメッセージだったのですが、自民党政権下で金額が半減し、現在は廃止されました。  

農家の長男が家を継ぐという時代ではないので、農業が好きで、やりたい人を見つけるしかないでしょう。新規就農者には助成金が出ていますが、若い人は特に自然に近い農法を好むので、自家採種を禁じ、3点セットを強いれば、農業を目指す若者は減るでしょう。自民党にはそういう若者の姿は眼に入っていないのでしょう。  

遺伝子組み換え作物、農業大資本が 闊歩する農村にしてはいけない

昨秋、国連人権理事会で「農民と農村で働く人々の権利宣言」が採択されました。日本政府は棄権しましたが、世界では家族農業こそが自給率を上げるといわれるのに、日本は助成金を使って大規模化を進めています。  

この地域でも、休耕田を集約し、労働者を雇って農業法人が増えています。やっていけなくなった農民が田んぼを農業法人に貸して、自分は労働者として農業法人に雇われるのです。  

ただし、今は助成金があるので成り立っていますが、現在のように米価が低迷し続ければ、赤字が膨らんで最終的には破産します。その後を狙っているのが、モンサントのような世界的アグリビジネス企業です。農業法人は、最後は乗っ取られるのです。  

こう考えると、農業の規模拡大は、田畑を集約させるための方便なのではないかとすら思います。種子法廃止は、種と農薬がセットで販売される遺伝子組み換え作物につながっていると思います。種と水をおさえる者が世界を治めると言いますが、種子法の廃止で、「五穀豊穣」という言葉は死語になるのでしょうか? 命をつなぐ水道にも民間参入を認めようとしています。「亡穀は亡国」です。  

二度と国民が飢えないように、種子法を復活し、美しく豊かな国土を次世代に残してほしいと切に願っています。

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