【文化欄】Iターンする若者たち(4) 都会のキャビンアテンダントが ノリで田舎のヨガインストラクターへ転身 斉藤 純子さん 聞き手 編集部 矢板 進

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 同じ美山でも、地域によって状況は異なる。今回はその厳しさの一面も聞くことができた。福島原発事故をきっかけにIターンしたというヨガインストラクターの斉藤さんは、田舎暮らしを始めてからヨガに対する考え方が変わってきたという。政治的な活動にも参加している斉藤さんの農村地域でのヨガ。今後のヨガの可能性について語ってもらった。

「福島からなるべく遠くへ」 ――農村への興味はなかった

 斉藤純子さんは神奈川県川崎市出身。7年間キャビンアテンダントを務めていたが、体調不良やサービス業に空虚感や不安定感を覚え、精神面に興味が向いたという。3・11のときは、アメリカ人と結婚し、妊娠中だった。福島からなるべく遠くへという配偶者の意向でいったん福岡へ引っ越ししたが、仕事の面でも便利な京都へ移ってきた。「農村への興味はまったくなかった」と言う。  

市内の上賀茂に暮らし、たまたま上賀茂神社を散歩していたときに、美山に住んでいるパーマカルチャーを実践しているイギリス人と日本人の夫婦に会った。意気投合し、ノリで隣に引っ越すことに決めたという。現在は畑も借りて野菜も育てている。  

引っ越した場所は限界集落と言ってもいい場所で、空き家に数軒Iターン家族が移住している。引っ越した当初は、区長さんの人柄もあってその区長さんの主催する地域のサロンに誘ってもらい、高齢者向けのワンコインでできるヨガ教室をしたり、Iターンのメンバーも協力して盆踊りの復活などの活動もしたが、いろいろとあり、今は関わっていないという。年々、近隣のお年寄りも元気がなくなってきている。5年前はヨガに参加してくれたひとも、最近はあまり見かけなくなった。  

一方で、Iターン仲間との関わりは、斉藤さんの活動にも大きな転換をもたらした。Iターンのひとは、わざわざその土地を選んだこともあってか、移住地に対する意識は高くなる。教育の問題、政治的な活動など、Iターン仲間の影響で活動の範囲や考え方が変わった。  

特に学校教育については関心がある。こなさなければならないカリキュラムが多く、子どもたちの自由な時間は理想より少ない。そんな環境では多様性が育っていかないのではないか、と危惧している。本当は学校教育を変えたいが、なかなか難しいので、いわゆる「サードプレイス」を作ろう、という話をしている。  

自己満足だけに終わらない

「子どもたちの主体性に任せた、緊張感が緩むような多様性を育てる場所が必要だ」と語った。田舎暮らしを始めてから「ひとからどう思われようと、どうでもよくなった」と語る斉藤さんだが、多様性を育てるには自然が活き活きと育つ風通しのいい農村が向いている、と言う。  

「都会にいるときは、自分の精神的な向上に満足していた。参加者それぞれも、そのような目的で集まっていたように思う。ある意味、自己満足。いまはそんな時代ではない。ヨガを通しての自己の目覚めを、コミュニティや政治的なアクションに生かしていく。そのような実践が問われている時代だと思う」。  

確かにヨガには自己の身体や精神に耳を澄ませ、自己を拓く要素があるのだろう。「国会を始める前にヨガをみんなでしたらどうか」と言う斉藤さんだが、れいわ新選組の山本太郎にはそのような有権者の自己の目覚めに訴えかける力を感じるという。ひとが無意識にしてしまうフタを開いてくれる。市民ひとりひとりに力が宿っていることを多くのひとに訴えかけた、と大きな期待を寄せていた。

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