【時評短評私の直言】映画「赤軍-PFLP 世界 戦争宣言」の先駆性 シネマブロス 宗形 修一

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パレスチナ解放闘争から世界を捉えた

「パレスチナ連帯」という 世界的視座

 若松孝二・足立正生共同監督は、70年代の世界の焦点を「パレスチナ」と捉え、ゲリラキャンプ地に潜入しこの映画を完成させた。その中でサイダ難民キャンプの学習会と訓練の様子が映される。  

パレスチナの歴史は以下のように語られる―〈パレスチナ〉という言葉は古代カナン語で『勇敢なる兵士』を意味するという。二千年前の侵略者ヘブライ人と戦い、ローマ帝政、十字軍と戦い、近代シオニズムと戦いつづけるパレスチナ人。5年どころではない。彼らは4千年前から戦う人民だ」  

映像に、戦闘場面は一切ない。次々と水道もない難民キャンプが映される。ベイルート・シャティラ難民キャンプ、サイダ、ジェラシ、ガザ、その映像にかぶさるように「プロバガンダの最高の形態は武装闘争である」というテーゼが流される。  

当時学生運動の渦中にいたわたしたちが、パレスチナの闘争をどれだけ理解していたか疑問に思えるが、重信房子を中心とするブンドグループはパレスチナに拠点をもった。そして、この映画の上映運動と伴走するように、パレスチナ問題は活動家の間で知られることになった。  

さらにこの映画で、PFLPによりハイジャックされた3機の旅客機が爆破されるシーンに、ゲリラのコメントが流される―「確かに、全世界の言論のプロバガンダ体制は世界中の世論に対して多大な影響をあたえているかもしれないが、最終的に物事を決定しうるのは、武装闘争を通して自らの解放を勝ち取ろうとする人民である(中略)彼らは世界中のテレビ・ネットワークと新聞社を支配し、言いたい放題を言うことによって人民にニセの教育を施し、映画をつくっている。彼らは何でもできると思い込んでいる」。  

この映画に映るゲリラはインテリが多い。PFLPも、設立当初から国際主義を旗印に戦いを構築していった。  

日本の戦いを国際連帯の戦いと 連結する計画

それから50年弱の2019年の日本で、パレスチナ問題はどのように捉えられているだろう? 壁で包囲されるガザ地区と移住政策により、現在も収奪されるパレスチナの土地。さらに、トランプ政権以降のゴラン高原簒奪、エルサレム首都計画、ユダヤ国家法制定と、パレスチナ抹殺計画は次々と実行されている。それに対するパレスチナ人の昨年3月からの「グレート・リターン・マーチ」の祖国復帰を求める、壮大な抗議行動も行われている。  

これらパレスチナの戦いに連帯する運動が、日本国内でも起こっている。パレスチナの苦難を沖縄の戦いとつなぎ、さらに福島の原発事故と戦う福島の人たちとも連帯し、日本の戦いを国際連帯の戦いと連結する計画だ。「パレスチナ―沖縄―福島 国際連帯フェスティバル」だ。  

この映画製作以降、若松プロは公安の集中的な弾圧を受けるが、若松プロは屈せず「連合赤軍あさま山荘への道程」(2007年)を制作する。しかし、赤軍‐PFLPの国際主義の旗をいち早く掲げた先駆性は、今も戦う人々を勇気づける。

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