[科研費裁判】杉田議員、研究軽視露わに

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フェミニズム科研費裁判、第2回期日

 7月30日、京都地裁で、科学研究費助成を受け日本軍「慰安婦」問題を含む研究を行っていた研究者グループが、自民党杉田水脈議員からの(1)ねつ造、(2)研究費不正使用との攻撃に、名誉毀損で訴えを起こした、通称「フェミ科研費裁判」の第2回期日が行われた。今回は抽選によって傍聴者が選ばれたのだが、140枚もの傍聴整理券が配布され、関心の高さがうかがわれた。被告の準備書面の内容について裁判官が「正当な論評の範囲内ということでよいか」と確認し、被告代理人が同意するという内容で、1分も経たずに終了した。(フリーライター・谷町邦子)

 京都弁護士会館で開催された支援集会は120人もの人々が集まった。  

代理人の大杉弁護士によると、被告である杉田議員は準備書面の中で、自分の言動は科研費についての評価や意見を述べた「論評」であり、社会的評価を低下させるような発言はしていないため責任はない、と反論しているという。また、論評の根拠とする事実は、実際に科研費を使ってシンポジウムやワークショップを開催したことであると主張し、科研費の内容がねつ造、研究費が不正流用されているか否かといった、事実関係については争うつもりはないとしている。今後は被告側が10月15日に出した書類を確認して原告側が反論。その上で、12月13日15時からの第3回期日では、それぞれが準備書面を提出し、原告側が準備書面に基づき準備書面の概要を10分程度説明するという。「原告が研究者としての社会的信用を低下させるような発言をしていたと反論していきたい」と意気込みを語った。  

上滝弁護士は、杉田議員の準備書面に「逃げ腰」との印象を持ったという。 「学問の自由は尊重する。捏造はだめだ。科研費での研究が捏造だとは言ってない」という要旨の文があり、防戦的な意味合いが強い準備書面だと感じたとのこと。  

原告研究者らからは、杉田議員に対して研究そして科研費の制度に対する無知・無関心、そして 研究者生命を絶たれかねない無責任な「論評」に怒りの声があがった。  

また、上智大学教授、中野晃一さんが講演「従軍慰安婦に関わる言論・表現・学問の自由の抑圧」では、歴史修正主義の変遷について語られた。  

日本会議が設立された97年「バックラッシュ元年」を起点に、右派政治家が小泉政権下で閣僚となり、右派が主流となる流れが生まれた。自民党内の保守穏健派、2012年民主党政権の崩壊により、政党政治の中で歴史修正主義の歯止めがきかない状況が作られたという。  

政権による歴史 修正主義の変遷

2014年から2015年にかけて安倍政権は歴史修正主義に攻撃的なまでに傾倒。NHKへの介入、朝日新聞への攻撃などでメディアを制圧。さらに、海外で歴史修正主義キャンペーンを展開し、アメリカの教科書会社や学者、メディアを恫喝した。しかし、海外では「慰安婦」は現在につながる女性の人権に関する問題ととらえられており、また、アメリカは軍事戦略上、日本と韓国との対立を望まず、警戒・反発され失敗。  

現在は政府の姿がはっきり見えない形で圧力をかける傾向が見られ、保守論客が映画「主戦場」の上映差し止めを求めたり、科研費を使ったフェミニズム研究への攻撃も、その一連の動きのひとつだという。  

安倍政権は日本軍「慰安婦」や河野談話などについて、賛否がうかがわしいものと印象づけるため、あらゆる方法で誹謗中傷している。裁判は社会の縮図であり、歴史修正主義に対抗するため、フェミ科研費裁判を傍観せず、傍聴者として「凝視する」ことの大切さが強く訴えられた。

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