監視カメラの激増と高性能化 人間への信頼と共同性の回復が必要 箕面市議会議員・中西とも子さんインタビュー

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吹田・拳銃強奪事件の逮捕から考える

 6月、大阪府吹田市の交番で男が拳銃を奪い逃走する事件が起きた。犯人は翌朝に吹田の北隣の箕面市山中でスピード逮捕され、コンビニやイオンの監視カメラから逃走経路を解析したことが決め手になった。監視カメラが人間の行動を全て追えるほどに増加・高性能化したことを明らかにし、「事件解決に必須」という報道が一段と増えた。だがそれはプライバシー侵害の危険も増すのではないのか。箕面市で、監視カメラの危険性を訴えてきた市議会議員の中西とも子さんに話を聞いた。(編集部・園)

 箕面市には約1900台もの監視カメラがあります。4年ほど前に通学路の安全策として保守系の市長が一気に導入し、自治会も設置補助金を一斉に申請しました。当初は自民党議員ですら積極的ではなかったのですが、寝屋川の中学生殺害事件で一転し、市民も歓迎ムードに。「子どものため」と言われると反対しづらい。その後、豊中市や伊丹市なども設置を競い合うようになりました。  

箕面市では、通学路の防犯カメラの設置の際には、警察から位置や角度などの指導を受けました。何か不具合等が起きると、まず市の職員が現場にPCを持参し、確認します。カメラチェックについては要綱で定められており(本来なら条例ですが)、警察が映像を見るには、原則的には市に事前連絡が必要で、目的や解析結果も報告されますが、緊急性のある特定の場合には、事後報告でよいことになっています。市は月に10件ほど映像を警察に提供しているとのことです。また、自治会などは、それぞれ警察と協定を結んでいます。常に見放題ではありませんが、警察が犯罪捜査のためにと求めれば誰もが映像を差し出すことを、今回改めて示しました。  

今回地元住民から「カメラがあって良かったね」という声はそれほど聞いていません。住民にはカメラは必要という思いと、プライバシー侵害への懸念が、両方あると思います。たとえば、運動会や卒業式をはじめ、さまざまな学校行事で撮影した他人の子どもの画像をSNSなどに公開してはいけないことになっています。しかし今や顔認証できるほど高性能なカメラが設置される時代になっています。  

警察が、今回の事件も、「京都アニメ」への放火事件でも、カメラが捕らえた容疑者の足跡を逐一報道させることで、「カメラは必須だ」と誘導していると思います。犯罪容疑者だけではなく、「連帯労組」のような組合や市民運動まで、警察権力は狙いを定めた相手をどんな手段でも追跡し弾圧しています。カメラの顔認証システムが全国化すれば、より容易なのです。個人情報=自己コントロール権が侵害されています。  

警備会社や機材会社の 利権と化す膨大な税金

そもそも、全国の犯罪件数は減り続けています。また犯罪の多くは、貧困や孤立といった社会背景があり、それを解決しなければカメラで容疑者確保はできても、犯罪を防ぐことはできません。顔認証による捜査は、よく似た人を誤認逮捕する危険性が増します。駐車場など個人財産が盗まれうる場所につけるカメラと、無造作に街中につけるカメラの意味も混同されています。カメラの場所も、使われ方も、自分がいつどこで録画されたかも分からないまま、私たちは気づかないうちに監視対象になっています。膨大なカメラ運営に税金が流れ、警備会社や機材会社の利権と化しています。  

それでも監視社会を良しとするなら、人間性や地域社会をさらに壊すでしょう。同じマンションですら住民の顔も名前もわからない、仕事に忙しく近所の子どもや家族とも接点を作れない、といった人間関係や地域コミュニティーの分断・衰退があるため、監視カメラという機器依存に違和感がないのかもしれません。  

また、子どもの学校の出入りと登下校中の位置情報を、親のPC・スマホに知らせるサービスが拡大しています。親が得る安心感の一方で、子どもは常に監視され、寄り道などの自由さえ奪われるという状態は、子どもの人権が侵害されているともいえます。  

監視カメラより必要なのは、地域や職場でお互いに声を掛け合う、助け合う、人間を信頼するといった共同性の回復ではないでしょうか。

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