資本主義破綻・金融危機が生み出したG20 G20大阪NO!アクション―小倉利丸さん講演会

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影響力低下する欧米諸国、台頭する中国・新興国

日本初の「G20」が6月28~29日に大阪・南港で開催される。大阪では大規模な交通規制の話題などが先行しているが、そもそもG20とは何だろうか。一握りの首脳陣が世界のあり方を決めようとする時代錯誤と傲慢。  

G20は、開催の度に開催国で大きな抗議行動が起きている。関西でも30の市民団体によって「G20大阪NO!アクション・ウィーク実行委員会」が結成された。5月11日にプレ企画で批評家の小倉利丸さんの講演会「G20の混迷と私たちの未来」がエルおおさか(中央区)で開催された。講演要旨を紹介する。 (編集部・園)

G20ー米、英、仏、独、伊、日、カナダ、ロシア(従来のG8)に加えて、アルゼンチン、韓国、オーストラリア、メキシコ、トルコ、ブラジル、インド、インドネシア、サウジアラビア、中国、南アフリカ、EU(欧州連合)の首脳陣が世界経済について話し合う。年1回、持ち回りで開催。

 G20は、2008年のリーマン・ショックの経済・金融危機に対応するために発足しました。未曾有の金融危機に慌てふためいた「先進」各国が、同年11月に従来のG20財務大臣・中央銀行総裁会議を首脳級に格上げし、第1回サミットを開催。2011年以降は20カ国持ち回りで年1回開催しています。  

G7は、ベトナム戦争の米の敗北や社会主義国の伸長を受けて、資本主義国の主導権を維持するために70年代に発足しました。ただ社会主義国ブロックが消滅し、一人勝ちしたはずの市場経済神話は、リーマンショックで崩されました。資本主義経済の制度それ自体が内部破たんを起こしたので、事態はより深刻です。G7だけでは到底対応できない事態だと、中国やインドなど成長を続ける20カ国を集めて対応しようとしたのです。   

しかし、政治的にも経済的にも西洋近代とは異なる価値観の国々が参加するため、G7のような「仲良し会合」ではありません。各国間で矛盾や軋轢を抱えつつ、資本主義体制をどう維持していくのかを話し合う場になっています。   

しかし、G20は今、変質しつつあります。中国、ブラジル、南アフリカが各地域で影響力を強め、資本主義のルールを作る者としての欧米の影響力が落ちています。グローバル資本主義の機軸国がシフトし始めたため、G20は、西洋近代の価値観と別の価値観・道徳・宗教とを絡ませてグローバル資本主義を再構築する場になっています。  

また、G7とともに毎年開催の「ダボス会議」や、IMF、世界銀行、WTOの非公式会合に対抗して、90年代からグローバルな反資本主義の直接抗議運動が高揚しました。20世紀の「資本主義国vs社会主義国」とは異なる、草の根民衆の異議申し立ての強さが新たに明確になりました。G20は、その力を押さえ込むために、非西洋諸国を巻き込みながら生まれたともいえます。    

政策提言より対抗運動を!

G20は世界のGDPの8割を占めるため、合意の影響力は極めて大きいです。そこで開催国はリーダーシップを競います。外務省は国会の答弁で「世界経済の持続的な成長に向けたリーダーシップ」「自由貿易の推進」といった、資本主義を絶対的に肯定する議題を掲げました。   

これに加わる新たな議題の一つは「データガバナンス」、中でも電子商取引です。グローバル経済を「監視資本主義」として再構築するのです。私たちの個人情報が企業のビジネスチャンスになり、囲い込まれ、利用されています。グーグルやアップルが収集する個人情報に「日本国民」の情報があり、日本政府や企業がこれを奪って管理する仕組みに変えたいということです。  

同時に、多国籍企業の巧妙な税逃れをさせない枠組みを再度作り、利益を奪い返そうとします。それは私たち市民のためではなく、日本政府や大企業の利益のためです。  

また「環境問題」も、「海洋プラスチックごみ対策」を挙げているのは、対岸諸国(中国)への牽制です。福島原発事故の放射能汚染にはほうかむりしながら、対岸諸国が海洋汚染の加害国になっていると宣伝したいのです。  

私たちの関わり方が問われています。NGOが政策提言をするだけでは、G20にお墨付きを与えてしまうことになりかねません。対抗運動も重要です。  

議長国=日本の自己宣伝の場に

G20の声明に法的縛りはありません。ただ、国際政治では、非公式会合が公式会合をしばしば踏み越えます。G7時代から、ごく少数の首脳間の議論が合意となり、国際的な約束だと言いながら人々に強引に押し付けてきます。国内の話し合いで政策を決めていく民主主義を骨抜きにしています。  

また、G7も20も五輪と同じく自国の動きや利害を中心に報道されます。日本政府の活躍が報道され、政府もメディア操作ができます。議長国は、実質的成果がなくても「成功した」と宣伝することで、議長国のナショナリズムが強化されます。たとえ合意形成ができなくても、主犯は中国やロシアであると日本は宣伝できます。  

異常な警備 弾圧手法の世界的陣形

G20外交は儀礼であり、同調圧力を強めます。儀礼は、異議申し立てや空気を乱すことで効果が覆されます。学校で日の丸・君が代を歌わないことと同じです。  

G20は、異論を封じるために異常な警備体制や警備費用になります。2010年のカナダでは、あらゆる団体のあらゆる形での抗議が行われました。しかし、カナダ史上最大の警備費用と警官動員で、史上最多の700人が逮捕されました。その後も世界中で抗議行動に対する弾圧が強まっています。  

日本の今年度の警備対策予算は、前年度から207億円も増加して約333億円です。天皇代替わり関連は約38億円に対して、G20は120億円。「テロ対策」と称して監視社会のインフラを整備・強化しています。阪神高速を1週間も止め、府内全駅のロッカーを封鎖するなど、警備体制も過剰です。この弾圧体制強化もG20の世界共通の問題です。グローバルな反政府運動の展開に対し、各国政府側もグローバルに弾圧の手法を共有しています。G20はその陣形を作るためにも利用されています。大阪では「連帯労組」への大弾圧がそれに当たると思います。  

ブラジルでは、昨年ファシストのボルソナロ政権が誕生しました。今やG20の首脳の多くが、安倍やトランプを筆頭に次々と極右・独裁政権になっています。米国の武器やイスラエルの軍事・監視技術は、世界中に輸出されています。彼らが集まり、軍事や弾圧の陣形を話し合うG20大阪は、大きな問題をはらんでいます。  

回避できない資本主義の危機

これまでのG7やWTOへの反対運動では、「新自由主義グローバリゼーションに反対する」と言われてきました。ただ、今のトランプのスタンスが新自由主義政策かどうかは、判断が難しいです。どの政権でも、自国の利益が最大になる政策を取ります。自国に最も好ましければ新自由主義政策を行い、そうでなければケインズ的政策を行ったりします。  

戦後日本の高度経済成長は後者でした。財政投融資を行い、農業は主食の価格を政府が管理するなど、国家が経済をコントロールしてきました。対外的にも1ドル360円の固定為替を利用しながら、アジアに対する帝国主義国として復活しました。  

新自由主義も異なる政策=ケインズ主義も、両方問題なのです。また、地球環境問題におけるCO2の排出量も、欧米が世界を資本主義化した19世紀末から20世紀にかけて急速に増えています。資本主義の危機は「持続可能な成長」では回避できません。G20諸国の経済成長を止めるとともに、低成長へ戻し、資本主義ではないシステムを考える必要があります。  

しかし、G20は資本主義の発展しか考えないし、私たちもまだきちんと議論できていません。20世紀型の社会主義は、資本主義を止められませんでした。19世紀から200年かけて資本主義が世界を支配したならば、私たちは200年かけてもとに戻す必要があります。G20を機に、資本主義の問題を根源から考え、さまざまな運動体が自分の課題を持ち寄りながら連帯し、対抗していけば、とても意味があると思います。

6.23 サヨナラ安倍!サヨナラトランプ!G20大阪NO! デモ ー6月23日(日)13時 集会 大阪・新町北公園集合 地下鉄「本町」駅23番出口 15時からデモ

G20当日行動・会場へ向けたデモー6月28日(金)13時 天保山公園集合  地下鉄「大阪港」駅 15時ごろからデモ

主催:「G20大阪NO!アクション・ウィーク実行委員会」 

連絡先:「市民共同オフィスSOLA」06-7777-4935(月~土曜日の14時~17時)

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