狭山・冤罪被害者の自由と尊厳のために連帯 フリーライター 谷町 邦子

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石川一雄・中山千夏(市民グループ「おんな組いのち」世話人)講演会

警察による不公正と それを支える偏見

 5月16日、「大阪市立港区民センター」で「石川一雄・中山千夏 講演会」が開催され、定員550席の1階ホールは、集まった人々で一杯となった。  

石川一雄さんは、逮捕された当初は不屈の精神で、殴られても無実を訴え続けたが、自分だけが罪を犯したという単独犯とした1審では上告しなかった。その理由を、犯人が残した地下足袋の足跡を小柄な自分ではなく、大柄な兄のものと同じ大きさではないかと思ってしまったこと、警察に「自白するならば10年で出してやるし、お兄ちゃんも逮捕しない」と言われたことだと語った。その後は自白とはいえ警察の言い分を認めるだけで、「どういうふうに殺したかわからないから教えてくれ」と聞くこともあったそうだ。現在は仮釈放の身で選挙権もなく、毎日の生活を保護司に報告する必要があり、監視のため夫婦喧嘩にすら気を使うという石川さん。「私は司法を動かすことができません。主権者である皆さんの声があってこそ司法が動く」と、再審に向けての支援を呼びかけた。  

長年、石川さんの支援を行ってきた中山千夏さんは、「私はかつて『警察が悪いといった人が悪いんだ』という人間だった」と振り返る。警察をはじめ国家権力の悪いところは見えず、冤罪事件については、「どうしてやってないのにやったと言うんだろう」と全く理解が行き届かなかったと反省する。社会運動を通じて、警察というのは無実の人を捕らえる、ひどいところだというのがわかってきたそうだ。  

また、中山さんは、石川さんが無罪だと言うとき、「会ったことのない人だから信じられないなぁ」と思う人は、なぜ同じように警察をも疑わないのかと、警察を無条件に信じる思い込みや、逮捕された人が無実を証明しないといけないことに対する不公正を主張した。  

新証拠もとに 再審請求

中北龍太郎弁護士は、弁護団の要求による191件の証拠開示で、(1)強引な取り調べや誘導、証拠と矛盾のある証言など、次々と無実を証明するようなことが明らかになっていること、(2)今は開示された証拠をもとに、無罪につながる新証拠を複数提出している、と現状を報告。例えば、東海大学の福江教授がコンピューターで行った筆跡鑑定は、上申書と脅迫状を書いた人物は99・9%別人だとしている。  

また、吉備国際大学の下山名誉教授の分析で、被害者が使っていたインクと、石川さんの自宅で発見された万年筆のインクが異なり、被害者のインクに含まれるクロムが、発見万年筆からは検出されなかった。その事実から2つは別の万年筆だと考えられる。これらの新証拠をもとに再審請求を行いたいと、今後の取り組みについて語った。

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