【記者の目】

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西宮警察署の防犯ポスター こんな考え方で被害者を見ていたのか!

 西宮警察署と西宮防犯協会が作製した防犯チラシ「さよなら無防備 防犯活動で女子力UP!」が波紋を呼んでいる。問題となっているのは、「こんな人は狙われやすい」の事例に、(1)露出が多く目立つ服装、(2)抵抗をしそうにないおとなしい雰囲気、が挙げられている個所だ。  

ツイッターでは「性暴力だけは、必ず被害者が責められる。西宮警察署は、こんな考え方で被害者を見ていたのか!」、「責任転嫁するな!痴漢はダメってなぜ言えない?」と批判の声があがり、拡散された。西宮市議会議員のよつや薫氏は、「このチラシはひどすぎる。兵庫県の苦情処理窓口に届けるべき事案」と指摘している。  

このような事例は以前にもあり、学生服の大手ブランド「菅公学生服」(岡山市)が、2012年に作製した防犯ポスターに、「自分が『カワイイ』と思った短いスカートによって性犯罪を誘発してしまいます」と書かれており、被害に遭う女性側にも非があるように受け取れると批判が出ていた。菅公学生服は、不適切な表現があったと謝罪したうえで、回収した。  

今回問題となったチラシは、デザイン会社、自然社が制作。デザインを購入した西宮警察署と西宮防犯協会が自身の名義を入れて配布した。自然社は、サイトで交通安全・防犯・消費生活に関するチラシなどのデザインを販売している。デザインの空白個所に購入者が自身の名義を入れて配布できる形だ。  

自然社によると、該当チラシは、「女性が狙われやすい路上犯罪や性犯罪などを中心に、身につけ実践してほしい防犯知識をまとめました。積極的に防犯行動のきっかけをつくり、『無防備』な自分と決別してもらう」ことを目的に作られたという。  

西宮警察署によると、西宮防犯協会が昨年6月に自然社のカタログから選んで1千枚を注文。昨夏の夏祭りや花火大会、小学校の安全イベントで保護者や住民に配布し、残る数枚は公民館に置いたという。しかし、市民からの抗議を受け、公民館に置いていたチラシを回収。丸山文勝副署長は「女性に非があると受け取る人もいて、良くなかった。誤解を招く表現があった」と謝罪・釈明した。  

このデザインを選んだ側にも問題があるが、差別的なメッセージを含むチラシを制作したデザイナー、会社の存在も無視できない。現在も同デザインの販売は続けられており、さらに多くの人が目にする可能性もある。西宮警察署と西宮防犯協会に対処させるだけにとどまらず、再発防止へ向けた世論形成が必要だ。         (村上)。

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