【贈呈本紹介】社会運動史研究1-運動史とは何か 評者 編集部 山田 洋一

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 「社会運動史をめぐって、研究者がネットワークを作り討論を重ねるプラットフォーム」―これが「社会運動史研究」発刊のコンセプトだという。同誌は、大野光明・小杉亮子・松井隆志ら若手研究者が中心となり、「アカデミズムと運動現場との有機的な結合の場にする」メディアをめざして発刊された。  

資本主義の行き詰まりが明白になり、一方でフランス5月革命から半世紀を過ぎた現在、あらためて社会変革の方向性、運動のあり方をめぐり世界中で実践と議論が活発化しつつある。  

これにともない、運動経験の継承の必要性、運動と研究とのつながり、運動史研究の方法論的な問い・工夫などについて語る場の模索として、同誌の刊行は意義深いものであろう。  

座談会「社会運動史をともにつくるために」では、「運動とアカデミズムの関係」が語られ、コロンビア大学で黒人史を教えるケリー教授の講義では、最初の10分間運動のアピールタイムとして学生に開かれていたことなどが紹介される。授業自体に学生が運動に接点をもつことが組み込まれていたという。  

また、「ネオリベラリズムの下で」では、効率的に早く研究成果をあげること、わかりやすく社会に役立つ成果を出すことが要求されるなか、とても手間と時間がかかるたいへんな作業をとおして、「現在を歴史化する作業」につなげようとしている。今後の発展に期待したい。  

続刊は、特集「1968―69」、2019年12月刊行予定。

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