【天皇制を考える】天皇制批判に応える一水会・元最高顧問 鈴木 邦男氏に聞く

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意見特集(5)右翼団体の視点から

一水会元最高顧問・鈴木邦男氏は、天皇制を支持しつつも、安倍内閣や日本会議など改憲勢力を批判する。ネトウヨ的排外主義も厳しく批判する鈴木氏に対し、「天皇制は、(1)人民統治の道具、(2)植民地主義の残滓、(3)身分制・差別の象徴である」との批判をぶつけ、天皇主義者としての考え・反論を聞いた。(聞き手・山田)

――天皇制は人民統治の道具との批判については?

鈴木:昨年4月30日、陛下(明仁)は、平成という時代について「唯一戦争のない時代だった」、「その平和は日本国民に平和を求める強い意志があったからだ」と仰りました。  

しかし、日本人は平和的な国民ではありません。韓国や北朝鮮に攻撃的なネトウヨが力を持ち、安倍首相は憲法改正を目指しています。平和を望むものの政治的発言を禁じられている天皇は、サイパンやグアム、フィリピンへの慰霊などで平和を望む気持ちを訴えていますが、政府も国民も愚かだから理解できません。

――新元号も、いつの間にか「安倍首相の主導」となっていて、天皇を政治利用してると感じますが…

鈴木:「令和」の令は命令の令でしょう? でもマスコミは「すばらしい」という評価ばかりです。安倍政権は、アメリカに言われるとおり戦争するために、天皇の大義名分を欲しがっています。保守化を押し進めるために、天皇を利用しています。

――天皇制には植民地主義の責任があるのでは?

鈴木:植民地支配の責任はあります。韓国の人々も天皇に謝ってほしいと思っているし、陛下もそうしたいでしょう。でも、できない状況なのです。

――明仁が、真に「平和主義者」であろうとするなら、裕仁の戦争責任に言及すべきでは?

鈴木:陛下がどう思われるか? が一番大きな問題です。言及の必要はありません。 天皇制と身分差別

天皇制と身分差別

――天皇制はシステムであり、個人の問題に還元できません。天皇制による日本の近・現代への影響は問われるべきです。

鈴木:大きな役割があるからこそ生前退位されたのです。象徴天皇制には保守の側からも多くの批判があります。新天皇(徳仁)の即位で、批判は大きくなる。生前退位は新天皇を援助するためです。

――明仁が平和主義者だったとしても、新天皇が同じ考えかどうかはわからないわけですよね。

鈴木:陛下(明仁)は敗戦理由を、観念的な天皇制万歳や、国のために死ぬ、という精神論ばかりで科学がなかったと理解しています。私は天皇にこそ政治的な発言をしてほしいのです。  

安倍首相一人が戦争をやりたがっているわけではなく、マスコミが批判精神を失い、ネトウヨが声を大きくする中、社会変えようとしているのは陛下です。現行憲法を本当に守ろうとしているのは陛下(明仁)だけ。安倍首相をはじめ憲法改正論者は、明治憲法の復活をめざす人ばかりです。

――天皇は、復古主義への抵抗勢力で、政治的な発言をも認めるべきというならば、天皇制を廃止し、一人の国民として発言・活動すべきでは?

鈴木:いいえ。天皇家は長い歴史があり、日本の現状も理解してます。また、天皇という立場での発言の方が重みがあります。

――貴族や天皇制は、身分制度、差別の象徴だという批判については?

鈴木:皇室の人たちこそ自由がないのです。自民党の改憲案では、天皇を元首としています。戦争責任を天皇に帰するためです。しかし「元首」でありながら、戦争を拒否する権利はありません。  

陛下は民主的で、結婚に関しても開明的です。一般家庭の方が封建的で、陛下は市民社会を変えようとしています。

* * *  天皇=平和主義者という肯定論が幅を効かせている。鈴木氏も、天皇制というシステムを、明仁天皇個人の「平和主義者」としての印象に依存させて肯定する。氏の「天皇にも政治的発言の自由を!」との主張は独特だが、市民が、自ら考え、議論する社会なら、天皇に改憲勢力を抑えて「頂く」必要はないだろう。

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