イタリア右翼政権による移民弾圧と左翼コミュニティの強制排除 トリノ市在住・しろー

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イタリアでは昨年3月の総選挙で、ポピュリスト政党「五つ星運動」のジュゼッペ・コンテが首相に、極右政党「同盟」のマッテオ・サルヴィーニとルイージ・ディマイオが副首相に就任した。  

それ以降、現政権はわずか数パーセントしかいない移民を大きな脅威であるかのように見せかけ、移民許可条件を強化したり、移民・難民の乗る救助船の入港を阻んだり、移民への弾圧を強化している。

 今年2月7日、トリノ市の中心部アウローラ地区にある、スクウォット空間「アジロ・オックパート(Asilo Occupato)」が、各地から集められた数千名の武装した警察官によって強制排除された。  

スクウォット(squat)とは、パンクスやアナーキストが居住とライブする場所を求めて始めた運動で、多くは未使用の廃屋や工場跡地などを流用したオープンな「不法占拠」スペースとなっている。ヨーロッパでは珍しくなく、トリノだけでも同様の場所が十数カ所存在している。「アジロ・オックパート」は1995年に廃墟となった保育園を占拠して自主管理運営されており、ボクシングジムや護身術の教室、食事会、コンサートなどが行われ、市民に開かれてきた。非営利で、収益は囚人支援や自主管理ラジオ局の運営などに充てられている。  

排除には、多国籍企業に尻尾を振りたいアッペンディーノ市長の意向が働いているという。有名なコーヒー会社「ラヴァッツァ(Lavazza)」社や、富裕層向けの私立学校「スクオーラ・オールデン(Scuola Holden)」が同地区に参入し、跡地やその周辺を利用しようとしている。  

この排除で6名のアナーキストの活動家が共謀罪で逮捕された。非逮捕者は、政治犯のための重警備の刑務所に収監されているという。拘束は数カ月に及ぶと言われており、デモなどで逮捕された場合には即日釈放されるイタリアでは、異例の長期勾留となる。  

逮捕された活動家は、CPRと呼ばれる移民収容施設へ抗議活動をしていた。これは滞在許可証を持ってない「不法移民」を強制的に収容する施設で、水は1日に1リットルしか与えられず、狭く不衛生な場所に多くの人々が押し込められる、非人道的な施設である。その他にも、「アジロ・オックパート」は強制排除・借家追い出し反対、反ジェントリフィケーション、反ファシズム、NO‐TAV(反新幹線運動)などの運動を担ってきた。

 サルヴィーニは「犯罪の温床になる」という名目で、全てのスクウォット空間を閉鎖しようとしているが、実際には移民の権利を守るための運動をはじめとする、さまざまな社会運動を弾圧しようとしているのだ。

 このことに抗議し連帯を示すデモが、党派を超えて各地で行われている。数人が逮捕され、警察の暴力で怪我をさせられた。無関係の市民への職務質問や、公道の通行制限も頻発している。周辺は完全に封鎖され、強制排除から2週間経った今も市内は戒厳令下のようになっている。

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