【第8回論説委員会9.26】基地への怒りと日常的要求捉えた沖縄県知事選の勝利  編集部 園良太

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 沖縄県知事選挙の直前の9月26日、第8回論説委員会を行った。県知事選と沖縄の新基地建設がテーマだ。翁長前知事の死去に伴い、急きょ決まった県知事選は、後継候補の玉城デニー氏と前宜野湾市長の佐喜眞淳氏の一騎打ちとなり、玉城氏が圧勝した。

 論説委は、95年の少女暴行事件~96年「SACO合意」に始まる23年間を振り返ることで始まった。県民が何度も辺野古新基地反対の意思を知事選や名護市長選で示したこと、政府がそれを無視してきた民主主義の無視が際立つ。

 そして現在、辺野古・高江の米軍新基地建設、ヘリパッド配備、南西諸島の自衛隊新基地建設が同時進行する「琉球列島の軍事要塞化」が行われている。

 そうした何重もの軍事化を可能にしているのは、安倍政権の強権的手法とヤマト民衆の無関心だ。

 まず政権は、辺野古工事開始から現在まで、国会で一切審議もせず話題にもしない。官邸の専権事項と化している。また工事、特に反対運動や警察・海保の暴力をメディアが報道しない。沖縄の新聞との激しい落差があり、ヤマトの無関心が深まっている。工事開始前年に成立した、秘密保護法や日本版NSCの影響が出ているのではないか。

 また沖縄ヘイト・デマ報道も激化する。「座り込みは給料出てる」「本土の左翼しか居ない」「交通妨害してる」から「稲嶺市長で財政悪化」「玉城デニーは中国の手先」などだ。歴史を知らない人々に、差別意識を再び埋め込んでいる。

 さらに全国から機動隊を導入し、数十人を逮捕、致命傷の暴力を振るう。自衛隊配備は、東アジアの平和に逆行し、「中国脅威論」にしがみつく政府が多大な犠牲を沖縄に強いている。

 論説委では、「オール沖縄」を作った沖縄の政治・経済・社会の新たな動きと力をもっと知り、人々の声を聞くべきではないか、と話された。そうした沖縄の人々の力により選挙に勝ち、基地も止めているからだ。

 企業の基地建設反対表明とともに、観光客の増加、大浦湾のエコツーリズムなどは、沖縄の自立的経済作りをさまざまな形で表している。また、深刻化する失業問題、子どもの貧困を、玉城氏は福祉の拡充で解決すると強調した。それらを彼は「新時代沖縄」と表現し、人々の心を捉えた。

 政府は県知事選後、国交省に「自作自演の」申し立てをし、県の承認撤回を効力停止にさせた。工事再開を止めるため、辺野古ゲート前の座り込み・排除と海上闘争が再び始まっている。これ以上の暴力を許さず、沖縄の新たな動きとつながる私たち本土の取り組みが求められている。 

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