2月23日(土)14:30~17:00
会場:立教大学池袋キャンパス 5号館3階 5301教室
参加費 無料
フィリピン南部のミンダナオ島は、輸出用鉱物資源、農産物などの一次産品の主要供給地である。例えば、フィリピンのニッケル鉱石生産量は世界第一位であるが(2015年現在)、その主要鉱山の一つは同島北スリガオ州にある。またフィリピンの輸出用バナナは輸出額ではココナツオイルについで二番目に大きな農産物であるが、そのほとんどが同島で生産されている。いずれも主に多国籍企業によって生産、流通、販売が行われているこれらの第一次産業は、現地に雇用を生み出す一方、深刻な環境破壊や健康被害を引き起こしており、とりわけ経済的に困難な状況におかれている同島の先住民の暮らしに大きな変化をもたらしてきた。
本セミナーでは、尾本恵市(東京大学名誉教授、先住民族問題研究会代表)氏らの集団遺伝学的調査によりフィリピン最古の先住民(First People)の末裔であるとの仮説が発表されたママヌワ人のリーダーのカイン・フクマン氏と、同じくママヌワ人でセントポール大学(於スリガオ市)で教鞭をとるラリー・ディロ教授を招き、ニッケル鉱山開発が彼らの先祖伝来の領域にどのような変化をもたらしたかについて、ご講演いただく。加えて、ママヌワ人の人類学的調査を行ってきた尾本氏と、高地栽培バナナ農園がティボリ人に与えた影響について聞き取りを行った石井正子所員が、報告とコメントを行います。
尾本 恵市 「ニッケル鉱山開発とママヌワ人社会の変化」/カイン・フクマン ・ラリー・ディロ 「ママヌワ人の先祖伝来の領域とニッケル鉱山開発」(仮)/ 石井正子 「コメント:高地栽培バナナ農園とティボリ人の経験をふまえて」
主催:アジア地域研究所