ルネサンス研究所:井上康・崎山政毅著『マルクスと商品語』合評会


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7月1日(日)12:30開場:13:00開始:16:00終了(いつもと曜日・開始時間が違います)
会場:専修大学神田校舎7号館7階773教室
資料代¥500
(報告者)大谷浩幸(『情況』編集部)/中村勝己(大学非常勤講師)
主催:ルネサンス研究所

リプライ:崎山政毅(立命館大学教員)
 現代資本主義世界は、グローバル化の矛盾が激化し、後退局面に入っている。G=G’(自己増殖する貨幣)の運動が世界的に拡大し普遍化しながら、なおその自己矛盾によって、自らの没落を用意し、対立的な形態を発展させ、より高度な社会性を発展させているのである。その矛盾する発展の基礎は、商品に発することを『マルクスと「商品語」』の著者は指摘する。商品形態は、人間労働の抽象的人間労働への還元によって、生産関係が労働生産物の社会的関係として反映される形態だということである。そうして、この抽象的人間労働の凝固物としての商品が価値対象性を持つ価値物となる。価値は、資本・貨幣・商品の形態を取って増殖運動を続けるが、より高度な社会性を持つ生産関係を準備する。そして、この間、明らかになってきたのは、歴史的に、資本の運動の限界であり、それは端的に人間労働と抽象的人間労働との対立の発展によるものである。リーマン・ショック後の世界市場の縮小という事態はそのことを示しているし、この間の欧米帝国主義諸国による中東やアフリカ、旧ソ連地域の資本主義化が失敗に終わっていることにもそれが示されている。労働の性格ということから世界を見る際に、マルクスが『資本論』第1章「商品」の中で、人間労働の非資本主義的な形態の3つの例を挙げているのがヒントになる。すなわち、「ロビンソン・クルーソー」、中世ヨーロッパ、「共同の生産手段で労働と自分たちのたくさんの個人的労働力を自分で意識して一つの社会的労働力として支出する自由な人々の結合体」である。最後の共産主義的共同体の労働の発展ということが今現実的な課題として大きく浮上している。そのような観点から、『マルクスと「商品語」』も読み解いていけば、豊かに学ぶことができるとだろう(文責・大谷浩幸)。

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