【ぷりずむ】

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 テレビやラジオの声が早口になっている。特にニュースは短時間にどれだけたくさんしゃべるか競っているようだ。かつて久米宏と黒柳徹子が早口の双璧で、ひとつの芸だったのに、今や誰もがそんなふうにしゃべる。政治家もそう。アベも小池も早口で、しかも無内容なことをべらべらしゃべり続けるからたまらない▼思い出してみるといいが、舟木一夫が「赤い夕日が~」と唄ったのは今よりゆったりしていたし、三橋美智也のワラにまみれよ~などはほとんど民謡のテンポだ。歌だけでなく、生活リズムが今よりずっとゆったりとしていた。生き馬の眼を抜くといわれた江戸でも、歌も芝居も現代人からするとイラつくほどゆっくりだ。いやさお富、久しぶりだなあと口ずさんでみるといい▼動物にはそれぞれ固有のリズムがある。心臓の拍動に基づいていて面白いことに大きな動物ほどゆっくりだ。ゾウとネズミの時間は全く違い、ネズミはあんなふうにちょこまかとしか動けないし、寿命も短い。人間はゴリラとほぼ同じなんだから、人間本来のリズムはあんなものなんだろう。ところが今ではほとんどネズミのようだ▼そして社会にイラ立ちが充満し、抵抗できない人たちに暴力や暴言が向けられる。自爆行為だ。せめて舟木一夫の歌を口ずさんでみたらどうだろう。(や)

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