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2013/7/11更新

伊方原発再稼働阻止現地行動〜2〜 1

ずさんな避難計画

佐田岬半島西側住民約5千人原発過酷事故で、救出不可能?!

原発さよなら四国ネットワーク 大野 恭子 

昨年9月の防災訓練で愛媛県は、佐田岬半島西側住民の救助のためにヘリコプターと船を用意したのですが、強風と雨のためにヘリコプターは飛ばず、船も岸壁につけられず、結局救助できませんでした。

原発災害は、穏やかな晴天で、海に波もない時を選んで起こるとは思えません。放射能は、風向きによっては短時間で地域を汚染します。原発の西側20q圏内に暮らす住民約5000人にとって、防災・救出計画は実効性がない、と言わざるを得ません。県は住民を見殺しにすると言っているようなものです。こんな現状で、再稼働を認めていいのでしょうか?

愛媛県は、伊方原発から半径30q以内の地域をUPZ(緊急時防護措置を準備する区域)とし、原子力災害対策重点地域として計画を立てていますが、7市町(山口県を入れると8市町)の13万5000人がどのように逃げられるのか、明記されていません。

そもそも被害想定が甘く、30q圏外の県民の防災対策は書かれていないという実態です。

このため「原発さよなら四国ネットワーク」は、3月に国の防災指針に沿った県の防災計画について申し入れをしました。30キロ圏内の人たちの被曝シミュレーションでは、7日間の被ばく染量推定値を、50_Svと推定(97%値)しています。もし松山方向に風が向かっていれば、60q地点の松山市周辺では、97%値では7日間で約12mSv、100%値では約60mSv被ばくすることになります。

これは福島の現実を踏まえていません。国は16方向の風の向き全てで100%値のシミュレーションを出しているのに、愛媛県は、南南西の一方向しか公開していません。これだと放射能は海に流れ九州の宮崎県と鹿児島県の端っこの方が引っ掛かるのみで、愛媛県住民は被曝しないかのように見えるのです。あまりにご都合主義で甘い仮定なので「全方位の風向きで出してほしい」とお願いしても、「その必要はない」との回答でした。

国は全方位の被曝推定をシミュレーションしており、愛媛県も資料は受け取っているにもかかわらず、九州の方へ向かう風の想定だけで計画を立てているのです。

実際この地域は、西の風の日が多いので、被害は広島や山口に広がる可能性が高いと思います。こんなごまかしだらけの防災計画をもって、再稼働への地元了解を出そうとしています。

3・11で伊方町民の意識 大きく変化

避難計画ない住民の不安/マグマ吹き出す直前

編集部…3・11以後、町民の人々の感覚にはどんな変化があったのでしょうか?

近藤…もちろん劇的な変化です。町民の不安は非常に大きくなっています。私たちが街頭宣伝や抗議行動をしていると、出て来て福島事故の感想をしゃべったり聞いたり、議論になったとしても真剣さが全然違います。

伊方町民から電話がかかってくるようになり、6月11日の座り込みには、町内の女性が初めて一緒に座り込みました。その方は「自然の美しい伊方町が大好きだから、これを守りたい。素晴らしい伊方町から原発をなくして欲しい」と、原発ゲート前でマイクを持って訴えられました。

他にも僕らが座り込みする直前に、車が突然止まって、クラクションを鳴らしました。文句でも言いにくるかと思ったら、「原発は絶対反対なんや、どうぞ頑張ってください」―そう言って激励してくれました。その人は、農作業中に通りかかったそうです。今まで全くなかったことです。

町民に劇的な変化が生まれていることは、間違いありません。ただ、それが直接行動や、大きな行動に表れてないだけなのです。すでに差し止め裁判の原告になる人も出てきています。座り込みへの参加まできているということは、もの凄いマグマが地表に迫っていて、マグマの蒸気がぶつぶつと吹き出し始めた状態だと思っています。

何かキッカケがあれば、ぐらぐら煮え立っている不安や怒りが、吹き出すでしょう。だって、原発の西に住む旧瀬戸町や旧三崎町の人たちは、事故の際に自分たちが逃げる手だてが全くないのですから。彼らの避難計画は、町も県も国も作っていないのです。口先で「何とかせないきませんな」とは言うけれども 、実際には何の手だてもないのです。

住民の怒りは、この辺からもの凄い形で吹き出すだろうと、私は感じています。

愛媛県内外の行動

「再稼働反対」訴え多様な行動が継続中

若者も独自行動

県庁前(松山市)で毎週金曜日、四国ネットワーク他のメンバーによる原発再稼働反対の行動が継続されている。これとは別に、四国電力本部前では、愛媛大学生を中心にした「伊方原発をとめまっしょい若者連合」が、ビラ撒き行動を行っている。高校生のビラの受け取りがいいそうだ。

活断層「南海トラフ」の危険

政府の地震調査委員会は5月24日、南海トラフにおける巨大地震の発生確率を発表した。M8以上の巨大地震の発生確率は、10年以内が約20%、30年以内では60〜70%、50年以内では約90%と予測。M9.1の最大級地震は、データがないため予測不可能、とした。

中央構造線上にある伊方原発

徳島市から吉野川北岸を走って三好市に達し、川之江・新居浜のすぐ南側を通り、砥部町から双海町を通り、佐田岬半島北側の沖合を通り豊予海峡に入る。近年の活動記録が無く、エネルギーが蓄積されていると考えられ、要注意断層である。

高知県四万十市でも月例で伊方原発再稼働反対の市民デモが継続中で、広島市でも隔週で伊方原発再稼働反対ウォークが取り組まれており、通算20回を越えている。

自治体単位でも動きがある。高知県内の34市町村議会で「伊方原発再稼働反対の意見書」が議決された。愛媛県は、残念ながら20市町のうち鬼北町議会のみで、今後の課題となっている。

伊方町地元では、再稼働に反対する「八幡浜・原発から子どもを守る女の会」が、毎月11日にゲート前で座り込みをしている。

6月7〜10日には、伊方原発30`圏内にある6市町で、福島原発被災者の木田節子さんの体験を聞く講演会を開催。6月11日には、伊方原発ゲート前で25回目の再稼働阻止、廃炉を求める抗議の座り込みが行われた。

伊方原発1〜3号炉運転差止請求訴訟の第3次原告も募集している。伊方原発2号炉設置許可取り消し請求訴訟(1978年)では、原告が33人だったが、今回の差止訴訟の原告は、約600人を超えている。現在第3次募集中で、1000人の原告団となる勢いで、かつてない盛り上がりと広がりとなっている。

議員アンケート

「原発さよなら四国ネットワーク」は3月、愛媛県議会に請願を提出した。伊方原発環境安全管理委員会の安全専門部会の委員に指名された奈良林 直(北海道大学)氏は、原子炉メーカーである東芝の元社員で、明確な原子力ムラの一員であるため、罷免を求める請願だ。

これとは別に、9月までに愛媛県議会議員を対象とした個別面談でのアンケート調査を予定している。面談して原発再稼働の危険性を訴え、同意しないように求める説得の機会とする目的もある。

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