[社会] ホクレンブランド代用乳でBSE汚染/農水省一体となった隠蔽工作
はじめに
全農(全国農業協同組合連合会)とその最大組織である「ホクレン」がBSE汚染代用乳(生後直ぐの子牛に与えられる人工乳)を製造・販売し、これが日本のBSE発生の原因だったとの疑惑が強まっている。
これまで厚労省は、英国から輸入された感染牛に由来する肉骨粉による配合飼料への交差汚染が発生源の可能性が高いとして、肉骨粉を原因に仕立て上げてきた。しかし、肉骨粉全面禁止後に生まれ飼育された牛の感染が確認されるなど肉骨粉原因説は大きく後退し、あらためて代用乳原因説が浮上してきた。
日本政府は、日本でのBSE感染経路の解明に蓋をしたまま全頭検査を緩和して、さらに危険な米国産牛肉解禁に踏み切ろうとしている。発生源として敢えて否定されてきた代用乳をめぐる業界団体と農水省の動きを検証する。隠蔽体質に汚染された農水省は市民の命を守るという気などさらさらない。(編集部・山田)
怪しい肉骨粉説と浮上する代用乳説
表は、これまで確認された感染牛の出生・飼育県と出生年月日・生後月齢だ。これに感染源と疑われる代用乳(ミルフードA・ピュアミルクH他)の使用状況を書き加えたものだ。この表から読み取れることは三点。
1 国内でこれまで発見された二〇頭のうち一三頭の誕生が、一九九五年一二月から九六年八月に集中しており、2 これらは、問題の代用乳を一様に摂食している。3 しかしほとんどの感染牛に肉骨粉は与えられていない。
この表を見る限り日本のBSEは、「科学飼料研究所高崎工場」(全農子会社)製造の代用乳によって発生したと考えるのが当然だったのだ。もともとBSEは仔牛の時に感染しやすいと言われており、多くの生産者は、当初から代用乳を疑ってもいたのだから。
しかし「BSE疫学調査報告書」(二〇〇三年九月)は、「代用乳使用とBSE発生は関係があるとはいえない」と結論した。この時点で七頭の感染牛が確認され、その七頭ともが同じ代用乳を給与されていたにもかかわらずである。
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