東日本各地の下水処理施設の汚泥から、放射性物質が検出されている。東京都大田区の下水処理施設では、空気中から毎時2・7マイクロシーベルトの放射線量が検出された。0・05マイクロが普通だから、その50倍であり、とても高い。
原発から230q離れた場所でありながら、高線量の汚染となったのは、下水処理場の汚泥が濃縮されるからだ。空気中に広がった汚染は下水に流れこんでくるが、下水処理場は水を処理する過程で汚泥を生み、そこに濃縮されている。これから日本中の多くの場所で出るだろう。関西でもそれなりの濃度になると考えた方がいい。
東京都は、「検出された場所は屋内であり、敷地境界で計測したら問題ない数値だったため、誤解を招かないために公開しなかった」と説明している。
配慮して公開しないというのは、おかしい。下水処理場が毎時2・7マイクロSvという場所になっているのであれば、放射線管理区域にして、管理するための手続きも必要なはず。作業員の方も普通の服装で、被曝管理もしていないはずだ。これまでにどのくらい被曝したかも知りえないまま、今に至っている。
パニックを恐れて情報をストップするのはまかりならん、と思う。マスコミも留意してほしい。
下水処理場で焼却した灰からは、1sあたり1万ベクレルを超えるセシウムが検出された。すごい量だ。そんなレベルの放射能を取り扱ったことは、私は一度もない。
国は、下水処理場の汚泥を、建築用コンクリート等の材料として再利用することを進めている。セメントや肥料にするにあたって、「1sあたり100ベクレル以下になっていれば問題ない」としているが、放射線はどんなに微量でも危険。社会的にどこまで受け入れ可能なのか判断するしかないが、いま出ている汚泥は猛烈な濃度であり、始末の方針を示す必要がある。
国が汚泥の汚染の基準を定めたのは5月で、それ以前の分は既に全国に出回っている。セメントにして道路を舗装したら、放射線が出てくる。1sあたり100ベクレルのセメントで建物を作れば、汚染物質で覆われた建物になる。キロあたりは小さくても、大量に使えば積算される。
そうした汚染の拡大は止められないが、今や地球上すべてが福島の放射能で汚れている。事故を招いた日本という国は、汚染から逃れられない、という覚悟を決めるしかない。ただし、小学校には使わない、というような配慮はあってしかるべきだ。
江東区の保護者の会が、「東京都の汚泥処理施設近くのグラウンドの土から高い濃度の放射性物質が検出された」と発表した。汚泥処理施設で焼却して処理しているのであれば、煙にのって放射性物質が大気中に出てきて、それが周辺に汚染を広げていることはあり得る。放射性物質が出ているのであれば、焼却は止めるべきで、続けるならば、適切なフィルターなどを設置してから行わないといけない。
汚泥を置いておく場所も、灰を置く場所もない。どうしたらいいか分からない。こんな事故が起きてしまったから、これからは今までと違う世界に生きるしかないと思っていただくしかない。
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