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2016/3/14更新

2/20「参院選でアベ政治をひっくり返せ」報告

安倍政権の暴走を止めるため今、何をなすべきか?

選挙ジョッキー 座間宮 ガレイ

2月20日、市民交流センターひがしよどがわ(大阪市)にて「座間宮ガレイ激おこ勉強会〜参院選でアベ政治をひっくり返せ」が開催された。講演者の座間宮さんは、これまでに山本太郎氏のメディアプロデューサーを担当し、東京都知事選や鹿児島2区補選など各地の選挙協力を行った。現在、全国ツアーやインターネットを活用した選挙活動を展開している。

この日の勉強会で語られた、@これまでの選挙分析、A野党共闘の実践例、B戦略的投票の意義について、概要を掲載する。与党に圧勝させないという結果に主眼を当てた技術的選挙戦略に、違和感を持つかもしれないが、ひとまず読者のご一読を願いたい。(編集部・ラボルテ)

※ ※ ※

「選挙」を「自分の選挙区で応援している候補者を通らせること」だと考えているとすれば、それは違います。選挙とは、「国権の最高機関である衆参議院の議席配分を決めること」です。大阪で圧勝しても全国で負ければ、与党は好き放題できます。2014年末の衆院選で野党共闘が実現し、与党衆院議席数が3分の2より1議席でも少なければ、強行採決を防ぐことができた可能性があります。自分の選挙区だけではなく、全体を見なければいけません。

その上で、野党の動向ですが、2月19日に安保廃止法案を共同提出しました。民主党も全議員が廃止に変わり、野党の足並みが揃っています。現在の焦点は、「共産党が思い切った協力ができる条件は何か?」です。中央では決まりつつありますが、地域の事情はさまざまです。北海道では民主党の裏に旧社会党があります。社会党と共産党は長い対立はあるものの、政策は近く、知事選でも共闘しました。しかし九州の場合、民主党の裏は元自民党系、旧新進党系、連合の旧同盟系など、北海道とは全く違う状況です。

「順番の問題」

連合の会長は、いろんなヒントをくれます。1月15日に「(連合会長)共産党との選挙協力に反対」と報道されました。しかし詳しく読むと、「後から共産党が応援することはあっても、最初からその輪に共産党があるのは違う」と発言しています。報道は共産・非共産の分断報道を行っていますから、惑わされてはいけません。「順番が大事だ」と言っているのです。私は「順番にこだわる会長はケシカラン」と考える一方で、「順番の問題」をどう解決するのかを考えました。これには、埼玉での学習会にヒントがありました。当初、ママの会が学習会に手を上げてくれました。その後に連合・労組系の田中さんが名乗りでました。予定を確認すると、同じ日しか空いていなかったので「一緒に」と両方に伝え、「主催:ママの会、協力:いのちを守る会・田中正道」としたところ、連合サイドから「ママの会は覚悟があるのか」と返答がありました。そこで、「主催:いのちを守る会・田中正道、協力:ママの会」にすると、田中さんの機嫌がよくなりました。名前や順番が問題なら、変えたらいいのです。田中さんとママの会はその後、仲が良くなりました。

当初、民主党保守は共産党との共闘に難色を示しました。このため、「野党5党が集って安部政権に対抗する」というイメージを形成しました。これなら共産党アレルギーを持つ、民主党保守も了解できます。「共産党と組むと保守票が逃げる」と言いますが、大阪ダブル選挙では自民党と組むことで革新票が逃げました。合意形成を得るのは非常に難題です。

市民の選挙対策本部を作る

政党や政治家が選挙対策本部を作る時代は終わりました。私たちがやるべきことは、市民の選挙対策本部を作り、リベラル統一候補を応援することです。平和運動や脱原発運動の中で選挙の話はできません。支持政党が違うからです。しかし、この場には支持政党の違う方が集っています。安倍政権はやり過ぎ、と反発している自民党員もたくさんいます。そういう方をまきこめば、自民党からも票は取れるのです。

余談ですが、パンツ泥棒で有名な高木毅衆議について話します。パンツ大臣で一躍有名になった方ですが、福井県では5年前から「パンツ高木」と呼ばれ有名でした。元捜査関係者間では「パンツ」と名指しされたほどだったにもかかわらず、前回選挙は圧勝。これが自民党の組織力です。

沖縄・勝つための共闘

沖縄1〜4区の全選挙区で、オール沖縄の野党系候補者が勝利を収めました。しかし、自民党議員は全員比例で復活しています。沖縄は九州比例ブロックに入っているからです。沖縄でどれだけ自民党を叩き潰しても、九州で自民党が圧勝すれば、その比例票で復活するのです。沖縄は、保守を含めた「勝つための」野党共闘を毎回模索しています。日本全国で野党共闘が実現すれば、議席バランスが変わって辺野古基地建設を止められます。

もう一つは、沖縄1区の赤嶺政賢さん(共産党所属)の勝利についてです。第46回衆院選(12年)で約2万8千票だった赤嶺さんは、14年の選挙で約5万8千票を得ました。「赤嶺政賢勝たせなくば、オール沖縄なし」とのスローガンを掲げ、厳しい選挙情勢を訴えたためです。選挙中盤の報道で赤嶺さんは、自民党に次ぐ僅差の2位でした。そこでオール沖縄の保守派地方議員が、赤嶺陣営に「勝ちたいのなら、『比例は共産党』の文言を封印しませんか」と提案しました。沖縄1区は、那覇市を含みます。翁長さんを選出させた、自民党が強い選挙区ですから、保守票を取らなければ勝てません。そこで、革新派は革新票を、保守派は保守票を固めていきました。しかし、那覇の保守派にとって「共産党の赤嶺に入れること」がどれだけ強いインパクトのあることかを考えてみてください。非常にデリケートで身体が拒否反応を示すようなことでも、辺野古基地建設を止めるために、「赤嶺」と書いたのです。政党は「比例は共産党」を封印して乗り越え、有権者は「共産党アレルギー」を乗り越えた、象徴的な選挙でした。

思い込みでは選挙に勝てない

ぶっ飛んだことを言いますが、私は読売新聞が大好きです。官邸の動向や自民党の派閥状況、細かな軋轢を報じています。東京新聞だけ読んでいても、選挙対策はできません。例えば、世田谷の区長選挙で保坂展人さんが当選しました。翌日の東京新聞の1面見出しは「脱原発候補の勝利」です。しかし、保坂さんは脱原発だけで選挙をしたのでしょうか?保坂さんは、日常生活に密接した細かな政策問題も掲げて公明票の半分を得て圧勝したのです。「脱原発を言えば勝てる」というのは、思い込みに過ぎません。原発再稼働について、世論調査では過半数がNOと答えますが、選挙で原発を決め手にして投票する人は、1割程度です。投票と世論調査は性質が違うのです。

民主党・福山哲郎さんが参院選に向けての公開討論会を呼びかけています。私は公開討論会は、揉めて大激論になった方がいいと思っています。地方の野党がドンドン本音を言って大喧嘩してほしい。なぜなら、喧嘩をすると有権者は心配になるからです。「本音でぶつかって決裂しそうだ」というくらいでないと有権者は危機感を持てません。表面だけの生ぬるい政治討論をやって、有権者が生ぬるく見て、選挙が生ぬるく決まっていくよりも、大激論の方がいい。「まとまらなかったらどうする?」という機運が有権者に広まることが大事です。この機運ができれば、「まとまろう」という流れになります。

フランスの統一地方選挙は、これをやりました。極右が急激に台頭し、第1党になる危機感から、保守・革新が土壇場で公の場で協議を行いました。結果は決裂でしたが、フランス全土に「極右を止められない」という雰囲気が醸成されました。その後に、革新候補を降ろして保守に入れる戦略的投票が行われ、極右の躍進に歯止めをかけました。

参院選で野党共闘が実現すれば、確実にマシな結果が出ます。この成功体験は、次の衆院選に結びつきます。「ミナセン大阪」が立ち上がったら、選挙が終わった後も時々集まって市民の選対本部として、存続すればいいのです。市民側のプラットフォーム(基盤)として、地域で存在し続けることができれば、一時的にねじれることはあっても、「次の選挙では連帯する」など、長期的な視座で選挙に臨めます。

大阪の参院選は、改選数4に対し、維新が2人、自公が各1人の擁立を目指しています。維新と自公で全議席を取られる可能性が大きいのです。この状況下で勝てるのは、共産党と民主党、どちらか1人でしょう。複数人区で比例票だから、共闘も簡単にはいきません。最終的に、共産党がリードしていれば共産党に入れなければいけないし、民主党がリードしているなら、民主党に入れなければいけません。キーワードは正確な票読みと戦略的投票です。

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