2015/12/23更新
岩国市議・リムピース共同代表 田村 順玄
11月29日、山口県岩国市にて基地問題を提起するデモ・集会が開催された。岩国市議でリムピース共同代表の田村さんのお話を、概括して掲載する。(編集部・ラボルテ)
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昨年、米軍機(空中給油機)15機が普天間から岩国基地に移駐しました。これは、当初12機と要請していたものを、なし崩しに15機として配備を押しつけた、当初の合意を反故にしたものです。2017年には、米軍の戦闘攻撃機F/A─18Eを中心に、59機が厚木基地から岩国基地に移駐の予定です。これによって、17年には米軍機160機あまりが配備されることになります。
現在、岩国市には5千人の米兵とその家族が居住していますが、17年には、倍増となる1万人が岩国に住むことになります。岩国市の人口は約10万人なので、10人に1人が米兵とその家族になるのです。
17年完成を目指して、基地拡張の大突貫工事が行われています。今年1年間の岩国基地関連工事への国の支出は、約1019億円です。岩国市の年間予算は約700億円なので、市予算を凌ぐ「思いやり予算」が投じられています。
建設工事の影響を例示すると、岩国市内のホテルは、月〜土曜日まで全部満室です。すでに増設工事を進めていた岩国市内の軍事施設はほとんど完成し、残りは米兵とその家族を対象にした学校や消防署、スーパーなどです。
愛宕山には米軍住宅を建設する予定で、他にも岩国市民も利用対象にした野球場や陸上競技場、体育館などが既に着工しています。米軍住宅については、当初1200戸だったのが、反対運動も影響したのでしょう、270戸に縮小されました。残りは基地内に現在建設中です。しかし、国は愛宕山の米軍住宅については、ほとんど具体的な計画を開示しておりません。野球場については、岩国市内に無いことを逆手に取り、国が防衛名目で建設を決めたものです。典型的な「宣撫工作」です。すべて防衛省予算で建設しようとしています。
米国政府は、F─35Bステルス戦闘機を17年に岩国に配備すると表明していますが、日本政府は未だに「岩国へ」とは明言していません。F─35Bは、同じ垂直離着陸機である「ハリアー」と比較して3倍の出力を持っています。これを運用するための専用施設を、米軍は既に建設しました。この支出は、日本政府からではなく、米国政府からです。これは「ドル予算」と言って、アメリカ側が勝手に予算を支出して施設を建設しているのです。反対運動を起こさせないためで、運用施設などの条件を勝手に整えた上で、配備直前に公式発表するように進めている手段です。
日本政府・米国政府は、地域住民に対して言えないこと・都合の悪いことはドル予算で進めています。実際に、オスプレイの配備経過も同様でした。
岩国基地は、嘉手納を超える極東最大級の基地となってしまいます。政府は、辺野古や厚木で「つまづく」ことがあっても、「岩国に持っていけば実行できるし、アメリカにご無礼がない」というスタンスです。
岩国市民は、異議を明確に示さなければいけません。来年1月24日に、岩国市長選挙を迎えます。艦載機をも受け入れ容認の福田市政に対抗して、市内のあらゆる市民団体が反対派候補の姫野敦子氏を擁立します。この日1月24日は、宜野湾市長選挙と同じ日です。オール沖縄の戦いを、私たちはオール岩国で戦います。選挙戦に勝利するには、多くのハードルがあります。政府と反動派は周到です。こうした基地の街では、岩国も呉も長崎も育鵬社の教科書が選定されましたが、ここに反動勢力の焦りが見えてきます。
私たちのたたかいは決してへこたれません。こうした動きに抵抗しながら、がんばっていくことを強く訴えたいと思います。
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