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2015/12/11更新

絶対的貧困ライン割り込む大阪市対応
「生活保護決定・支給まで100円以下で過ごせ」

「1カ月2千円で生活できると思っているんですか。保護費支給までどうやって生活しろと言うんですか」─11月17日、大阪市役所内で、「生活保護基準引き下げに反対する釜ヶ崎実行委員会」(以下、申し入れ団体)が大阪市福祉局生活福祉部保護課および西成区役所保健福祉課(以下、大阪市)に、「生活保護決定・支給問題」への申し入れを行った。

大阪市は、生活保護申請者に対し、生活保護決定・支給まで「緊急援護資金(新規立替分)」による一時立替制度で5千円/10日間の貸付を行ってきた。しかし、今年4月以降、同立替制度の運用が改悪された。住民登録・居住していない者に対しては、日割計算で100円以下の貸し付けが「代替措置」として講じられている。

大阪市側は申し入れ団体に対して、@予算がない、A食住に欠く場合は、救済措置としてケアセンターを案内している、B経済的に困窮している場合、「民生委員児童委員協議会による貸付制度の説明」を行っている、など事前の文書どおりの回答に終始した。

申し入れ団体側は、@予算より生存権が優先される(朝日訴訟判決)、A救済措置についても、ケアセンター(大阪自疆館・三徳寮側)は「大阪市から何も聞いていない」と証言している、B生活保護申請者への聞き取りを行ったところ、ほとんどのケースで 生活保護法「14日間以内の決定・支給(第24条3項)の原則」を超過している、C「平成23(2011)年のガイドライン(後述)」は保護決定以前の就労指導に該当するため違法である、D申入書送付から2カ月を経たにもかかわらず、申請現場に対する実態把握など申し入れへの実質的対応を行わなかった、ことなどを批判した。

「生活保護決定・支給問題」について、申し入れ団体で積極的に活動するAさんにインタビューした。(編集部・ラボルテ)

* * *

A…今年4月、釜ヶ崎の生活保護申請者に同行し緊急援護資金の利用を行おうとした際に、別制度になったことを知りました。ケースワーカーに、従来とは異なり最初に1回限りで2千円(公的身分証明書無し)、別の申請者では5千円(公的身分証明書有り)と言われたのです。大阪市と西成区に問い合わせたところ、「緊急援護資金について、制度の運用が変わりました」と返答がありました。釜ヶ崎の野宿生活からの生活保護申請者は、無一文である場合がほとんどです。これでは支給まで生活できません。

大阪市はこの数年間、「水際作戦」をほとんど用いてきていませんが、保護が決まっていない時点で事実上の就労指導をする「ガイドライン」を「根拠」とし、「稼働能力の意志の有無を見極める」として、生活保護法「14日以内の決定・支給原則」をなし崩しにし、決定まで3週間から30日間待たせることを常態化させてきました。そこに今回の「新規立て替え分」の締め付けです。申請者を「兵糧攻め」にして、生活保護の利用を諦めさせる。これは、水際作戦と同等かそれ以上に悪質な、生活保護へのアクセス権の侵害に他なりません。

生活保護申請後の公的支援がいま、WHO(世界保健機関)の定める「絶対的貧困ライン」すら割り込む状態となっています。1日100円で生活ができますか?許せない思いです。

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