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2015/11/24更新

高浜原発再稼働反対【11/8福井】

高浜現地→関電本店リレーデモ
多数派となった脱原発派可視化させる取り組みを!

川内原発1号機に続いて、2号機の再稼働が強行された(10月15日)。次は伊方原発(愛媛県)だとされている。

関西では、高浜原発(福井県)が福井地裁による再稼働差し止めの仮処分判決(4月)にもかかわらず、11月に入り高浜町近隣自治体で住民説明会が開かれるなど、再稼働への下準備が進められている。今年2月、原子力規制委員会は、高浜原発3・4号機の再稼働の前提となる「設置変更許可」を出しており、あとは差し止め判決を覆し、地元の同意を取り付ければ、再稼働に向けて大きく前進することになる。

11月8日、「高浜原発再稼働反対!」を訴えながら高浜原発〜関西電力大阪本店(大阪市北区中之島)まで約200qを歩く「リレーデモ」が、スタートした。高浜原発近くの展望所で行われたキックオフ集会(出発集会)と初日のデモの様子をレポートする。(編集部一ノ瀬)

関電本店に向けキックオフ

「原発利権に飲み込まれたマスコミに頼ることなく、原発に反対する人間の存在を、リレーデモで多くの市民に『可視化』していきましょう!」(京都造形芸術大学教授/日本人初の宇宙飛行士・秋山豊寛さん)

高浜原発北門近くの展望所で、リレーデモのキックオフ(出発)集会が始まった。関西各地は無論、全国からも駆けつけ、雨の中、約100人の参加となった。展望所の左手には、高浜原発が間近に見える。釣り人用の筏が点々と浮かぶ内浦湾を望み、リアス式海岸が織りなす変化に富んだ海岸線や、270bを超える音海断崖を見わたす絶景だ。

展望所の山側は、県道149号線をはさんでそそり立つ山肌が迫っており、県道を行くと、音海の中心街(人口・約160人)がある。音海への道路はこの県道しかなく、緊急時には、高浜原発前を通るしかない。伊方原発と同様、住民が孤立する可能性が大きい。

リレーデモを呼びかけた木原莊林さん(若狭の原発を考える会)は挨拶で、川内原発再稼働や、福島での避難指示区域が解除されていく状況を批判し、「私たちは、『高浜原発再稼働阻止』という強い決意で集まった。世論調査でも、脱原発は多数派。リレーデモで、各地の『点』である反原発運動を『線』にし、さらに発展させよう」と訴えた。

「川内の家」で地元の運動のサポートに尽力してきた岩下雅裕さんは、「川内原発1・2号機の再稼働を許したことは、本当に無念です」と心中を語り、地元の人との話を紹介した。戦後、結婚して川内にやって来たという女性は、「息子に子どもが生まれたら、『こんなところで子どもを育てられない』と出て行ってしまった。本当に原発は、私たちの街づくりに貢献しているのか」と語ったそうだ。川内駅から原発に向かう道路に、賛成派が『原発のある街づくり』という看板を立てているそうだが、それが幻想であることは明らかだ。岩下さんは、「もう一度、九州全土の人の心を再稼働反対で結びつけたい」と結んだ。

街の活性化にならない原発誘致

集会終了後、雨の中をデモに出発。13日間をかけて、200qの道のりを関電本店に向け歩く。高浜原発北門前に到着したデモ隊は、「高浜原発再稼働反対!」「関電は原発を止めろ!」とシュプレヒコールをあげ、高浜原発所長に抗議文を手渡した。所長の視線はさまよっており、ひたすら聞き流している様子だ。「ちゃんと聞けよ!」と叫びそうになったが、集会での秋山さんの言葉を思い出した。「たとえ個々の関電社員が『原発は危険だ』と思っていても、原発を止められない。彼らはIAEAによる核支配の下請けに過ぎないからだ。原発をめぐる永田町や原子力ムラの利権構造を理解しなければならない」。この所長は、本心から再稼働したいと思っているのだろうか。

デモ隊は、正門に向かってシュプレヒコール。初日のゴールである高浜町役場に向けて約9qの道を歩いた。若狭湾を左手に見ながら県道を南下していくが、この辺りは漁港や海水浴場があり、冬場もサーファーたちで賑わっている。大飯原発のある大島半島もそうだが、県道149号線は、いくつかのトンネルをくぐり、基本的に一本道だ。切り立った崖もあるし、海岸沿いの曲がりくねった道もある。災害時に道路・トンネルが無事である保障はない。

デモ隊は、海岸部から住宅街に。何ごとかと表に出てくる人たち。笑顔で会釈する人、手を振ってくれる人、黙って見ているだけの人…デモも、前代未聞のことだろう。木原さんによると、高浜でのビラまきで地元の人と話す機会も多いが、「原発関係で働いている人が多いから『原発反対』とは言いにくいが、原発に賛成しているのは、一部の人だけ」との話をよく聞くという。

「ここにも『売家』って札が出てるわ。さっきも『売地』の看板、見かけたなぁ」─デモ隊が高浜町役場近くの旧街道付近にさしかかると、立派な町屋に『売家』の看板が掛かっている。高浜は、かつて京都へ海産物を運ぶ街道の宿場街として栄えた歴史を持ち、今も旧家(町屋)が残っている。原発を誘致した高浜町は、交付金によって潤沢な財政状況にある。しかし、それが高浜の街の活性化につながっているのかは、別の話だ。

デモ終了後、JR若狭高浜駅前を歩いていると、丹後街道北側に高浜町役場新庁舎・高浜公民館が、来年4月のオープンに向けて建設工事をしているのが見えた。

リレーデモは、小浜を通って東に向かい琵琶湖西岸を南下、京都・高槻・吹田を経由して、20日の関電への申し入れと関電包囲大集会で幕を下ろす。安倍政権のやりたい放題に落ちこんでばかりもいられない。多くの仲間と共に、「高浜原発再稼働反対!」の声を上げよう。

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