2015/11/13更新
11月5日に大阪府知事選、8日に大阪市長選が公示された。ともに22日投票で、この大阪W選挙は、今年5月の住民投票で否決されたはずの「大阪都構想」を再び掲げる橋下大阪市長と維新の会の今後の命運を左右する政治決戦となる。
府知事選告示翌日の6日に、維新の会の街頭演説の様子を取材した。レポートをお送りする。(編集部ラボルテ)
※ ※ ※
「ダメなのは大阪の自民党、民主党、共産党です。あれは自民共産党ですよ。自民党は共産党と手を組まなければいけないなんて、情けない」「とにかく大阪を再生させるんだ。東京のいいなりにはならないんだ。新しい『大阪都構想』の議論を継続して、大阪府民の力で大阪を再生させていきたい」。
11月6日夜、橋下徹氏(おおさか維新の会代表)が京橋駅前広場(大阪市都島区)で行った街頭演説だ。11月22日に大阪府知事・市長選投開票が行われ、維新(知事候補・松井一郎、市長候補・吉村洋文)対反維新(知事候補・栗原貴子、市長候補・柳本顕)の構図が明らかとなった。橋下氏のアジテーションは相変わらず変わっていないが、半年前に「都構想」を巡る住民投票の結果を受けた記者会見で、橋下徹氏が「嘘をつく必要もない。政治家は僕の人生から終了です」と、涙ながらに語ったことは、記憶に新しい。かつて「2万%出馬しない」と言い放った翌日に出馬表明するなど、言動が一致しないのも相変わらずだ。08年から行われている「維新政治」がこれまで何を行ってきたのか。
「実績」の一例を紹介する。大阪市独自の事業だった「子どもの家」や国際児童文学館、子育ていろいろ相談センターの廃止、男女共同参画センターへの補助金削減(暫定措置で停止しているものの、将来的に5館→1館へ)、住吉市民病院や市民交流センター全10館の廃止が予定されている。また、市立幼稚園・保育園や地下鉄、水道事業の民営化が進められ、「生活保護支給プリペイドカード化モデル事業」を先駆けて実施するなど、挙げればキリはない。
一方で「二重庁舎」として批判されている咲洲庁舎(元WTC)ビル購入費に85億円+引越し費用11億3000万円を支出し、耐震・追加補強のため148億円が必要となっている。
また、維新が「成長戦略」とぶち上げるカジノを含んだ「統合型リゾート」の実現には、最低5000億円が必要とされている。事業ベースで見ても、「おおさか維新」が何を目指しているのか?誰が利を得て、誰が苦しい立場に置かれてしまうのか?が、明白となっている。橋下氏の大阪府知事就任当初(08年〜)から繰り返し言っていた「財政改革」は、実現したどころか、12年より起債許可団体となり、財政状況は悪化している。
街頭宣伝に参加していた維新支持者複数名にインタビューしたところ、「具体的にはわからないけど、なにか変えてくれそう」というコメントが共通していた。ほかには「日本の悪口を言わなくて済む。国政では自民党、大阪では維新を応援している」「住民投票以降から関心を持った」といったコメントが特徴的だった。
政敵への憎悪を扇動する「橋下政治」に向けられる、「なにか変えてくれそう」という新自由主義政治への期待感を、人が人として生き、共に生きる政治へと取り戻さなければいけない。
HOME┃社会┃原発問題┃反貧困┃編集一言┃政治┃海外┃情報┃投書┃コラム┃サイトについて┃リンク┃過去記事