2015/11/13更新
伊方の家 八木 健彦
11月3日、伊方町の隣接市=八幡浜市で、伊方原発再稼働の賛否を問う住民投票条例制定を求める直接請求運動が始まった。「住民投票を実現する八幡浜市民の会」(10月28日設立)は、全住民の半数=15000筆を目指すとしている。
「地元同意」手続きは、9月2日、大城一郎八幡浜市長が、中村県知事に対し「再稼働容認」との回答を出したことで、一気に進んだ。市議には直後に郵便でその内容が示されるという拙速さで、議会や市民を軽視する非民主主義的行為だ。説明会も、恣意的に集めた住民団体代表と市議のみで開催。意見集約も形ばかりで、市民からの不信が高まっている。住民投票条例は、こうした市長の独断を批判し、被害を受ける住民自身の意思表明の機会を作れと要求するものだ。本紙コラムニストでもある八木健彦さんの現地報告を紹介する。(文責・編集部)
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6月に「ストップ!伊方原発・南予連絡会」を結成しました。宇和島・西予・八幡浜・大洲・内子を網羅する住民ネットワークです。
伊方原発50`圏内有志の会が行ってきた「伊方町住民アンケート活動」では、集落の家を1軒1軒訪問して、対話をしながら調査を行いました。結果、全戸数の1/3から回答を得て、50数%が反対、賛成は28%程度という民意を確認できました。これは、大きなインパクトを与えています。ここから住民同士の自由な議論を作り出して再稼働推進の公的力に対抗する芽を育み、さらには行動への転化の契機をどう作り出していくかが課題となっています。
来年4月 電力自由化 「原発の電気は買わない」大キャンペーンを作家 広瀬 隆 来年4月からの電力自由化によって、私たち消費者が電力会社を選べるようになります。これは脱原発への大きなチャンスです。電力消費量は圧倒的に企業が多いのですが、電力会社の企業利益は、7割が一般家庭からとなっています(2012/05)。東京電力に至っては、9割を占めているのです。理由は、家庭への電気代が高く設定されているからです。 私たちは高い電力を買わされているのですから、安い新電力への切り替えは大きく進むはずです。実際、東京新聞によると、「電力会社を変えたい」と答えた人が64%(3月時点)です。さらに、愛媛県において69・3%の人が再稼働に反対している、というアンケート結果が示されています。つまり、再稼働に反対している愛媛県民が四電から新電力に切り替えれば、四電の利益は37%激減することになります。だから四電は、原発を再稼働して利益を確保しようとしているのです。 新電力事業者は、各電力会社の管内毎にhttps://enechange.jp/に記載されています。ただし、「イーレックス梶vは、原発メーカーである東芝・日立が主要株主になっているので、要注意です。 「原発を動かそうとしている電力会社との契約を破棄して、原発を使わない新電力へ移行しよう」という一大キャンペーンを展開すれば、大きな圧力になることは間違いありません。 さらに、既存の電力会社から電気を買っている企業に対しても、「なぜ原発を再稼働しようとしている四電から電気を買い続けるのか? なぜ変えないのか?」という働きかけを行うことも可能です。 電力自由化は、原発を止める大きなチャンスです。これは、勝てる闘いです。 |
地元同意」をめぐる闘いは、終わっていません。「地元同意」のセレモニーという表層の下には、再稼働反対の意志と意見が、また、公的力の非民主主義的な強引さに対する批判と不信が堆積し、潜在的なマグマとして渦巻いています。
住民の不同意の意思の塊を可視化して、国策をバックとした四電の再稼働の意思に切り込んでいく闘いの突破口が、八幡浜での住民投票運動です。原発災害に対しては、福島の事態を見るまでもなく、誰も責任を負わない。だから、再稼働に判断を下しうるのは、被害の当事者となる住民なしにはあり得ないのです。住民の意思こそが最大の要であり、それを問うべきなのです。
伊方3号機の適合性審査は、まだ終わっていません。さらに避難計画は、自治体の責任にされています。実効性ある避難計画が策定され、住民への十全な説明と訓練を行って住民の理解を得たということなしに、「地元同意」など問題にできないはずです。
こうした住民なき「地元同意」、見せかけの「地元同意」を打ち破る住民投票実現には、条例案の議会での可決=制定が必要です。八幡浜市議会は、8対8で拮抗していますが、議長の分だけ足りません。それを覆す力となる署名の数が求められています。実現する会は、全住民の半数=15000筆を目指しています。
南予では、伊方原発再稼働を自らに差し迫った問題と考え、反対していく気運が高まっています。各地域に根ざしながら横に結びあって連携していく運動は、いよいよ本番を迎えようとしています。
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