2015/10/20更新
8月27日「電子インティファーダ」アリ・アブニーマ
翻訳・脇浜義明
1000人を超える黒人活動家、アーティスト、研究者たちが、パレスチナ人との連帯宣言に署名した。イスラエル・ロビーが、黒人アーティストとパレスチナ人との間の協力関係が大きくなっていることに懸念を表明しているときに、この宣言が出た。研究者で活動家のアンジェラ・デーヴィスやコーネル・ウェスト、「ブラック・ライヴズ・マター」運動のパトリス・カラーズなどが、パレスチナ人が呼びかけるBDS運動(イスラエルボイコット=脱投資、イスラエルへの経済制裁)に賛成を表明した。
宣言は今月初旬『エボニー』に掲載され、「パレスチナ人のホームランド(故郷)への帰還」を「正義の最重要問題」と位置づけている。
「パレスチナBDS民族委員会」(BNC)のコーディネーターであるマハムード・ナワジャアは、「黒人活動家が、アパルトヘイト政権=イスラエルへのBDS運動を支持することは、原則的主張が行為に変わることを意味するので非常に重要」と言った。BNCは、BDS運動を推進する広範なパレスチナ人市民団体である。「公民権運動は、BDS運動を行う我々にとって重要な刺激であった。その公民権運動の主人公たちからの連帯声明に感動し、あの英雄的な公民権運動から多くを学ぶ機会を提供してくれる」と、彼は付け加えた。
同じくBDSのオマール・バルグーチは、この声明をパレスチナ人の闘いが世界の被抑圧人民の闘い、例えば米国や世界で黒人たちが人種的正義と経済的正義を求めて闘っている闘いとつながっている感動的な証拠だ、と語った。バルグーチは、「パレスチナ人と米国黒人が受けている抑圧は、表面的には異なっていても、基本的には同じだ」と話し、その基本的抑圧を「非人間化、収奪、人種に基づく不正と差別、国家暴力、被抑圧者への犯罪的行為を行っても犯罪者が裁かれない優越主義」と説明、「米黒人とパレスチナ人が共に直面しているもの」と言った。
黒人の宣言は、イスラエル刑務所や有色人を対象とする米国の刑務所システムと契約して金儲けをしている多国籍警備会社・G4Sに反対する共同運動を呼びかけている。
黒人の連帯宣言とそれに応じるパレスチナ人の動きは、イスラエル・ロビーの危機感をかき立てた。イスラエルを支持する学生同盟(ICC)は、「パレスチナに正義を求める学生」(SJP)が各種の社会団体連携を深めていることを警戒する報告書を出した。「今年、SJPなど反イスラエル団体は、LGBT(性的少数者)権利擁護団体や化石燃料に反対する団体、民営刑務所の改善を求める団体、反人種差別団体や移民政策改善を求める団体などと連携を深めた」と、報告書にはある。
米国内のパレスチナ連帯運動を監視しているICCが特に警戒したのは、SJPと多くのアフリカ系アメリカ人学生グループとの間の連携である。「2015年3月には、SJPの学生が『ブラック・ライヴズ・マター』のデモに参加していた」と報告。さらに、「SJP学生が大学自治会の要職に立候補している。彼らは広範な問題を取り上げて社会改革を呼びかけて、一般学生の関心を集めている。刑務所民営化問題、性的マイノリティの権利、化石燃料問題と並べてBDSを訴えている」と、危機感を募らせる。
しかし、そのICCは、反パレスチナ活動家も連携を広げ、一般学生に働きかけ、イスラエル支持を訴える活動を行っている、と述べる。さらに、BDS運動が大学で拡がっていると伝えるメディア報道は誇張だ、と批判している。
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