2015/9/21更新
広東省広州市在住 劉思
前号に続いて、中国本土の若者から、日本の反安保デモに対するメッセージを紹介する。劉思さんは、広東省広州市在住。江晴財形大学で日本語を学び、来日経験もある。来日の際は、日本を案内した。真面目で素朴を絵に描いたような人柄だ。(編集部・山田)
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テレビやニュースで30日のデモについての断片的な報道はありましたが、深い社論や評価などはあまり見ていません。こうした報道については、香港鳳凰テレビを見ていますが、一番おかしいと思うのは、日本社会では反対の声が強く、十数万人のデモも行われているのに、政府からの反応や見解表明があまりにも少なかったことです。
中国のメディアは、「安倍政権がデモについて『野党は国民を間違った道に導くな!』と発言した」と報道しました。これは、中国大陸で暮らす私が外国メディアを見れなくて、分からないのか、中国メディアが報道していないのか、あるいは安倍政権は本当に何も発言していないからなのか、わかりません。
安倍政権は、「国民の安全と平和な生活を守っていく」と宣言しながら、国民の心からの声を無視して、強引に安保法制改訂を押し通すことは矛盾しています。
私は最初、デモをする効果は本当にあるのだろうか?と、疑問をもっていました。それは、1960年にも大規模な安保反対デモが起きましたが、岸信介首相は強引に日米安保法案を通過させたからです。今回も安倍政権は、国民の声を聞こうともしていません。結局60年代の繰り返しになると思っていました。
でも、いま何もしないなら、政府は一層国民の声を無視するでしょう。「政府は国民の声を聞かない。聞いても聞こえない振りをする」という悔しさを後世の人に与えないために、また、東アジアの安定や世界平和のために、日本の皆さん、頑張ってください。
遠い中国にいる私たちは何もできませんが、心から応援しています。ネットでコメントを書いて、日本の皆さんの頑張っている姿を周りの人に紹介していきたいと思っています。
8月30日に行われた国会前での大規模な抗議デモは、多くの海外メディアが報じた。
英BBCはトップニュースで報道。「無気力な日本人がこれほど声高になるのは前例がない」とコメント。国会前の現地リポートを含む動画で、「日本人は政治に対して冷淡だと言われてきたが、今、彼らが求める声は熱い」と切り出した。「デモ参加者は、法案を参議院で成立させることで、安倍政権は巨大な政治リスクを抱え込むと考えている。目下の疑問は、安倍首相がこの声に耳を傾けているかどうかだ」と指摘した。
「労働組合の組合員と、老いゆく左翼の活動家によるデモが典型的だったが、新たな顔ぶれが登場してきた」と伝えたのは、AP通信だ。「雨の中、母親が子どもを連れて戦争反対のプラカードを掲げ、学生は安倍首相と安全保障政策に反対するスローガンを、ドラムのビートに乗せて叫んだ」と、デモの様子を描写した。
韓国メディアも、軒並み現地の様子を詳報した。ケーブルテレビ局・JTBCは、「日本の国会議事堂周辺を取り囲んだデモ隊。政治的発言を控える日本国民の普段の雰囲気はここでは見られません」と伝えたほか、「国会を包囲した怒った市民たち」(ハンギョレ)、「怒った列島の民心」(朝鮮日報)と、デモ参加者の「怒り」を強調した。
ロイター通信は「反原発デモ以来、東京であった最も大きなデモ」と報じ、「この法案を止める動きに参加しなければ、将来、子どもに何と説明していいのか」と話す参加者の女性の声を伝えた。
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